外国人世帯の住宅入居を支援しようと、横浜市と不動産関係団体などで構成される「横浜市居住支援協議会」が10月から無料相談窓口を初めて開設し、支援事業を本格化させた。増加を続ける外国人に対して国は今年度、入居に関する助成を予算化。市はそれを活用しながら生活基盤となる住まいの支援をより加速させていく方針だ。
同協議会は2018年設立。外国人や高齢者、障害者などの「住宅確保要配慮者」とされる人が、民間賃貸住宅へ円滑に入居・居住できるための支援を目的に活動している。
この事業は国土交通省が今年度から初めて「外国人の入居を円滑に進めるための取組」に財政支援することを受けたもの。市内在住・在勤の外国人世帯へ向けて、入居時に必要な手続きから入居中の相談、退去時の手続きなどを支援。賃貸不動産の内見や契約の際に同行することもある。
入居差別解消へ
事業で市から委託を受けたNPO法人「かながわ外国人すまいサポートセンター」(裵安(ぺいあん)理事長、中区常盤町)が窓口となる。県が行う外国人の入居差別問題を解消する取り組みを背景に01年に設立。裵理事長は「戦前から外国籍というだけで入居差別が行われてきた。国が財政支援するという話は一つの前進」とする。
窓口の対応言語は英語や中国語、スペイン語、韓国朝鮮語など10カ国に及ぶ。裵理事長は「自分たちにできるのは目の前の問題に取り組むこと。今後も継続していきたい」と語った。
手続き日本語
外国人の生活を支援する「みなみ市民活動・多文化共生ラウンジ」は、「賃料が安い公営住宅に住みたいという外国人は多い」という。しかし、手続きに必要な書類は日本語で書かれており、困った人が相談に来ることもあるという。これまでもその場合は同センターを紹介して対応していた。今回の事業開始で窓口が明確になった。
市建築局の担当者は「国の支援は地域の人手不足対策の一つとして行っているもの」と説明。「今回の事業化は国の財政支援を最大限活用し、外国人の居住支援をより強化していくため」と経緯を語る。
神奈川労働局によると、県内の人材不足職種は保育士やとび職など5職種あり、特に介護職の有効求人倍率は20年8月時点で15・26倍と顕著だ。市担当者は「今回の支援で、人手不足の職種などを担う外国人の住まい探しの一助になれば」と話している。
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