市が緊急調査
新型コロナウイルス感染症が商店街や個店、来店者への影響を把握するため、横浜市はこのほど、緊急商店街関連調査事業を実施した。その中の「経営実態調査」によると、後継者不在の店舗が3割を超え、その回答者の半数以上が「自分の代で店を閉める」と考えていることが分かった。市はこの結果を踏まえ、商業振興施策の検討などに活用する方針だ。
同調査事業は、コロナ禍での雇用情勢悪化に対応する緊急雇用創出事業の一つとして実施。経営実態調査は11年ぶりで、2020年11月から21年2月に市が市内の商店街加盟店舗の個店1万2725カ所にアンケートを配布し、7905件(回答率62・1%)から回答を得た。
「いない」3割超
その結果、後継者の有無についての設問では「後継者がいない」が35・6%と最も高く、次いで「まだ考えていない」(34・7%)、「後継者がいる」(24・6%)となっており、全体の3分の1以上の個店で後継者不在という実情が浮き彫りとなった。
また、後継者不在の店舗に対する今後の営業については「自分の代で店を閉める予定」が57・0%と最も高く、事業継承しない店舗は半数以上にのぼった。
全国の商店街が衰退する中、後継者不足を解消し、メディアでも取り上げられた秩父市「みやのかわ商店街振興組合」の島田憲一前理事長は「後継者がいなくても公募するなど方法はある。継がせることを諦めたら誰も(店を)やってくれない」と、現経営者の意識の重要性を示す。
一方、南区内の商店街にある小売店の70代店主の男性は「商店街の現状や将来の見通しを考えれば、子どもに『店をやってくれ』とはとても言えない。昔からのお客さんとの関係もあるから、いきなり外の人を連れて来るわけにもいかない」と自分の代での閉店を決意しており、事業継承は簡単ではないという。
新生活様式の対策模索
コロナ禍以前から全国の例に漏れず横浜市内の商店街の空洞化は課題の一つ。市は、空き店舗になることを防ぐための改修費用等を支援する「商店街個店の活力向上事業」を実施し、15年度から20年度までに52件の一部経費を補助。しかし、後継者不在の状況改善には至らないのが現状だ。
そんな中での新型コロナの発症は追い打ちをかけたといえる。そこで市は、新生活様式での商店街活性化促進企画を発足。商店街振興を担当する市経済局は「市内も含めた全国の先進事例や好事例を共有し、コロナ禍での商店街活動を促す」と話している。
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