塗装職人 ”ピッツァ”の道へ
新型コロナウイルスによる先が見えない状況が始まり1年半。飲食店を中心に苦境に立たされている事業者は多い。その中で店舗をオープンしたり、起業する人もいる。台風並みの逆風が吹いているとも言えるコロナ下でなぜオープンを決めたのか。経営者らの思いを聞いていく。
まちにナポリの風
南太田のフジスーパー横浜南店の近くに3月3日にオープンした「エルコリーノ」。イタリア産の食材を使ったマルゲリータなどのナポリピザを提供し、バリスタが淹れるコーヒーも楽しめる。
落ち着いた雰囲気の店内で、すぐ目がいくのが大きな薪窯。店主の小堀靖幸さんが注文を受けてから丁寧に一枚ずつ焼き上げる。焼き立てのピザの香ばしい香りが店内に広がり、食欲をそそる。
小堀さんは南太田出身。市立蒔田中学校卒業後は家業の建築塗装会社に入社したが「テレビで自然と目に留まるのが食べ物だった」と飲食業への興味が芽生えた。7年間勤めた会社を辞めて居酒屋でアルバイトを開始。その後はピザ職人を目指し、都内と横浜にあるピザ店「ナプレ」で腕を磨いた。
2年前、「お客さんに『小堀』という看板を目当てに来てもらいたい」との思いが強まり、約9年間働いたナプレを退社。バリスタで同僚の市川裕子さんとともに、地元の南太田での開業に踏み切った。
開業の準備が整った時にコロナが襲ったが、ナプレの仲間たちの励ましが力になった。開業にかかった費用は約1500万円で足りない分は融資を受けた。小堀さんは「ピザの生命線になる薪窯に一切の妥協をしたくなかった」と話し、顧客に良質なピザを食べてほしいという職人魂を込める。
緊急事態宣言のため、ワインなどの酒類の提供を中止したことでディナータイムの来店者が減った。しかし、テイクアウトやデリバリーの需要が高まるといった恩恵も。時間が経っても美味しく食べられるように工夫を凝らし、季節感のあるメニューの開発に励む。「南太田は自分を育ててくれた大切なまち。本場イタリアの『ナポリピッツァ』で恩返ししたい」と意気込み、地元にナポリの風を吹かせる。
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