▼地域課題を住民と区役所職員らが共有、話し合う「地区懇談会」が5月から6月にかけて南区内10カ所の連合町内会で行われ、9月にその報告書がまとまった。1966年から続く、南区独自の行事は、区と連合町内会長連絡協議会が共催し、区と地域をつなぐ役割を果たしてきた。しかし、コロナ禍で昨年は全地区で中止。今年は希望した10地区が開催した。懇談会の肝である議論が行いづらい状況でも開催時間を短縮したり、参加人数を制限しながらも実施できた点は昨年より前進したと言える。
▼住民が会場に集まるのを避けるため、ビデオ会議システムを用いて参加者が自宅から話を聞いたり、発言する方法を取り入れた地区もあった。Webを使った非対面式の集会は今後、地域活動でもさらに広がる。機器の操作に慣れれば、違和感なく会議が行えることを実感したという声もあった。区や町内会には、こうした好事例を広める努力が求められる。
▼開催した地区の多くの議題は防災関係。区が配布した防災マップの見方や地震、台風、豪雨などの災害への対応策を区職員らから「聞く」形が主だった。一部の地区は、話を聞き、自らの行動を考え、それを発表していたが、大半の地区は話を聞く「講義」にとどまった。懇談会とは別にマップの見方を確認したり、減災行動を考える場があってもいい。地域防災拠点の訓練と組み合わせることも有効だろう。
▼参加者へのアンケートによると、回答した207人のうち、約7割が70歳以上。議題としたいものの中に「地域人材の育成・発掘」が2割を占めていたことを踏まえると、懇談会への現役世代の参加は不可欠。平日の午後6時台に始まる開催時間やビデオ会議方式の活用など、運営方法に見直す点は多くある。懇談会が区と地域を結び、住み良いまちづくりにつながることは確かだが、その目的を果たす手段はほかにもある。懇談会の特長である、住民と職員が平場で話し合える良さを生かし、時代にあった運営方法を区と町内会が協議して模索してほしい。
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