お三の宮日枝神社=日枝町=にある「千貫みこし」と呼ばれる大みこしが修繕されることになった。造られてから約90年が経過し、傷みが見られるため、2年近くかけて修繕する。12月5日には「御魂(みたま)抜き」があり、神社の代名詞とも言えるみこしの修繕が始まった。新しいみこしは、神社創建350周年にあたる2023年にお披露目される予定。
同神社によると、みこしは1934年に作られた。ヒノキを使い、随所に彫刻が施されているほか、漆を何度も重ねて仕上げられ、金具による装飾も数多い。今回の修繕を担当する宮本卯之助商店=東京都台東区=は「当時の職人が技を競い合い、粋を集めて時間と賃金を限りなくかけて造られたことが想像できる」とし、「神社みこしの中でも群を抜いた逸品」と絶賛する。みこしは高さが約4m。大きさ、重さから「千貫みこし」とも呼ばれている。
毎年9月の神社例大祭では、みこしが神社から氏子町内を練り歩く。かつては水牛が3日をかけて引っ張って歩いたとされるが、現在はトラクターがけん引している。
創建350年へ向け
造られてから約90年が経過し、台車や車輪部分などに傷みが見られることから修繕を決めた。みこしは1985年に一部を直したが、全体的な修繕は今回が初めて。同神社の角井瑞宮司は「みこしの価値を後世まで保ち続けるべく、総修理が必要と判断した」という。神社は2023年に創建350年の節目を迎えることから、みこし修繕を「御鎮座350年奉祝記念事業」の中心に位置付け、約2年をかけて修理していく。
12月5日はみこしの中にある御魂代を取り出す「御魂抜き」が行われた。氏子らが見守る中、みこしの一部が白い布で隠され、御魂代が取り出され、社殿に移された。その後、みこしの装飾や飾り紐などを取り外し、6日に運び出された。
みこしは、今年の例大祭で練り歩く予定だったが、感染拡大防止のため、昨年に続いて巡行が中止となっていた。修繕後のお披露目は23年の例大祭の予定。角井宮司は「350周年の際には皆さまの期待に応えられるよう、きれいな状態でお披露目したい」と話している。
奉賛者募る
みこしの修繕には、約3千万円が必要で、神社はみこしを入れる倉庫の耐火・耐震工事や社務所の屋根の葺き替え工事なども同時に予定しており、350周年へ向けた記念事業に7千万円の費用を見込み、広く奉賛者を募っている。問い合わせは同神社【電話】045・261・6902。
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