▼新しい年が始まった。新型コロナウイルスの感染者が増加し、先の見通しが立たなかった2021年の年明けに比べれば、目の前の霧は晴れつつある。人々の行動範囲が広がりつつあるが、昨年末に確認された新型株の影響は未知数で、油断はできない。
▼地域に目を向ければ、20年から皆無に等しかった町内会や行政関係の集会や行事が再開されつつある。ただ、飲食店やスポーツイベントの参加者に比べ、地域行事は高齢の関係者が多い。南区内で月1回開かれていたある高齢者サロンは、20年春から約1年半、活動を休止。昨年秋に再開したが、参加者が減ってしまったという。主催者が姿が見られなくなった参加者に連絡を取ると、外出自粛期間が長く、筋力が衰えて歩くのが困難になったため、参加できなくなったことが分かった。南区は横浜の中でも単身の高齢者が多い区だ。こうした影響は目に見えづらいだけに、今まで以上に地域のサポートが求められる。
▼市や南区はコロナ禍以降、主に町内会や団体の地域活動再開へ向けて、急速に利用が広がったビデオ会議システムの使い方を教える講座を始めた。南区の中には、町内会の会議にビデオ会議システム「Zoom」を用いたり、日常の連絡や情報共有に「LINE」を使用するところが増えている。ただ、依然として対面や電話など、旧来の連絡手段が中心の組織が多く、急速な変化は難しい。初心者向けの講座を継続しつつ、すでにオンラインを活用し、さらに進化させようとする地域や団体には、これまでより一歩進んだ支援メニューを用意すべきだ。
▼南区はコロナ禍前から、「子ども食堂」などの子どもの居場所づくり支援を区社会福祉協議会とともに進めてきた。居場所主催者をネットワーク化し、定期的な会議などで情報交換を図る。コロナ禍で子ども食堂として、部屋に集まって食事をすることが難しくなってからは、区予算で購入したレトルト食品や菓子を参加者に配布して、子どもとの関係が途切れないようにするなどの工夫を続ける。団体間で食料品の融通を進める地域も出てきた。また、コロナ禍だからこそ、支援の必要性を感じ、新たな居場所づくりを始めた人もいる。ここにきて居場所の活動内容や参加状況の差が顕著になりつつある。行政側は実態を把握し、個別のアドバイスや先行する団体の成功例を共有するなど、きめ細かな支援をしてほしい。行政だけでなく、住民もまずは身の回りの状況を改めて知ることからコロナ後の地域活動を始めたい。
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