横浜市は今年度、外国人介護人材の受け入れに関する事業所向けのセミナーと研修事業に着手する。介護業界の慢性的な人手不足を改善する一手として、外国人の受け入れ促進や定着化を支援していく。
25年に6千人超不足
市高齢健康福祉課によると、団塊の世代が75歳以上になる25年には市内で約6500人の介護人材が不足すると推計されている。市は人材確保の一環として、ベトナムの都市や学校と締結した覚書(2018年度)を皮切りに海外からの受け入れを本格化。中国の都市とも同様の覚書を交わしたほか、訪日前の日本語研修や市内施設とのマッチング支援を行ってきた。
セミナーは事業所の経営者や人事担当者など向け。手続きやメリットの説明に加え、外国人介護人材の日本語能力を体感できるような内容も検討しており、今年度に2回ほど開く予定。受け入れ施設の職員などを対象にした研修も行い、コミュニケーション方法などのノウハウを事例を交えて紹介する。
施設の不安解消へ
セミナーや研修を行う背景には、外国人とのコミュニケーションなどに不安を抱く施設が多い点がある。言語だけではなく、価値観や生活マナー、宗教などが異なるため、日本人職員や利用者との関係性、指導方法などの懸念があるという。受け入れの仕組みが難しいという声もあり、同課の職員は「(セミナーや研修が)不安を解消することにつながれば」と話す。
現場「支援心強い」
特別養護老人ホームなどを運営する瀬谷区の社会福祉法人「愛成会」は経済連携協定(EPA)に基づき、6年前からベトナムなどの人材を受け入れてきた。平本秀真(ほずま)本部長は「高齢者を大切にする思いやおもてなしの心は日本人より高く感じることも」と話し、外国人職員の働きやすい環境を整えることによって、職場全体の労働環境改善にもつながったという。
市がセミナーと研修を行うことについては、「横のつながりが薄い施設もある。行政による勉強会は心強いのでは」と評価。その一方で、外国人の受け入れ体制作りや育成、サポートには時間と経費がかかるとして、「雇用している外国人の人数や実績に応じた支援策などがあれば」と要望していた。
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