病の子どもと家族らを支援する六ツ川の認定NPO法人「スマイルオブキッズ」の理事長に就任した 松尾 忠雄さん 73歳
息子がくれた光を胸に
○…スマイルオブキッズの理事長を6月から務める。同法人が運営する家族らの滞在施設「リラのいえ」では、近隣住民など50人を超えるボランティアが活躍。「地元の方と手を取り合って、地域ぐるみでやっていきたい」と笑顔。8月に障害児らを招待して開催するコンサートは「普通では味わえない感激がある。心で感じてほしい」という。
○…29年前、19歳だった次男を白血病で亡くす。「夫婦で病院の椅子で寝泊まりしながらみとった」。悲しみから前に進もうと、臓器移植が必要な患者のためにドナー登録を推進する骨髄バンクのボランティアを始めた。活動に精を出す中、子どもの付き添いで遠方から通院する親が宿泊できる場所の必要性を痛感。1996年、仲間と県内初とされる滞在施設を磯子に立ち上げ。バザーなどで活動資金を募り、家族が”ほっとできる”約8畳の小さな施設を運営したこともある。
○…2003年発足の同法人とは「リラのいえ」建設を目指した準備委員会に参加してから関わるように。08年の開設記念セレモニーでは前理事長に直訴し、司会を担当した。「『これからセレモニーを行います』と最初の言葉を言いたかった。次男には『できたよ』と語りかけた。感無量だった」と口唇を噛みしめる。複数の家族が同時に宿泊できる「リラのいえ」は現在、年間4千人以上が利用。「親同士が会話し、精神的な負担軽減にもつながる」と”ほっとできる”空間が拡充したことを喜ぶ。
○…横須賀で妻と暮らす。次男の死後に始めた植木屋の仕事は「顧客の哲学や宗教的なことが形にできる素晴らしい職。ボランティアにもめぐり会えて幸せ」と微笑む。子どもは次男と一卵性双生児の長男、そして長女。小学生から1歳まで3人の孫にも恵まれた。「神様がご褒美をくれた。病の子どもたちも、孫たちのように元気になってもらえたら」。家族みんなが笑顔になる日々を願う。
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