日本伝統工芸展で5年連続入選するなど、陶芸作品を作り続ける 齋藤 龍也さん 井土ヶ谷中町在住 74歳
50歳から探究心で文化継承
○…井土ヶ谷に自身の陶芸窯を持ち、30年以上作品を作り続けている。模様を掘り込み、異なる色の土や貝殻をはめ込んでいく「象嵌(ぞうがん)」と呼ばれる技法を用いて皿や壺を制作する。繊細な作業で、完成までに時間がかかることなどから、取り組む人は少なく、南区内では自身だけだという。「完成のイメージや制作の道筋を立てないと作品が割れたり、思うような色が出なかったりする。難しいけど、とても奥が深い」と語る。
○…群馬県前橋市で生まれ育つ。高校卒業後に南区へ移住し、NTTへ入社。社外向けの広報を務めた。「50歳までは勉強や仕事に集中しようと決めていた。もともと陶芸に興味はなく、絵を描いていたこともあった」と振り返る。
○…陶芸に興味を持ったのは40歳の時。展覧会で偶然見かけた作品の美しさや繊細さに刺激を受け、陶芸教室に通い始めた。「出張の合間に現地の窯元を訪ね、ぐい飲みを集めて楽しんでいた」と話す。50歳の時、自分の好きなことをしたいと会社を早期退職。本格的に陶芸を始めた。1996年に国内で有数の規模を誇る神奈川県美術展で「特選」を受賞。以来、国内最大の公募展「日展」などで数々の受賞を果たし、日本伝統工芸展では2007年から5年連続の入選を果たした。「03年の作品で初めて線彫りという技法を取り入れた。その作品は今の自分の原点で技法としても、とても印象深い」と話す。
○…13年からは人間国宝を多数輩出する「日本工芸会」の正会員に認定された。アトリエでの教室を通し、培った技術を伝えている。「これからは新しい作風の陶芸に挑戦したい。息を抜き、自由な発想を持ちながら、できる限り続けたい」と探究心を原動力に作品を生み出し続ける。
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