江戸時代の荷役制度「助郷(すけごう)」の資料を展示する「永田村すけごうルーム」が永田小学校内に完成した。永田の歴史にとって重要な助郷を後世に伝えようと、北永田地区連合町内会らが南区の補助金を活用して部屋を整備。助郷に使われた器具を再現したものなどが展示されており、関係者は「助郷を子どもたちに知ってもらえれば」と期待している。
江戸時代の荷役制度
助郷制度は、大名行列の際、荷物を送り届ける人馬が不足するため、幕府の命令に応じ、近隣の村が人馬を提供したもの。保土ケ谷宿に近かった当時の永田村からは多くの人や馬が借り出された。史料によると、1712年には永田村から1399人と1832頭の馬が行列に随行し、神奈川宿や戸塚宿に荷物を送り届けたとされる。
永田村を象徴する伝統行事をよみがえらせようと、1993年に農家が中心となって「永田助郷伝承保存連」を結成。当時の衣装などを再現し、同年から行例を開始。初期には実際の馬を引いて地域を練り歩いたこともある。その後、行列は同連合町内会が行う「北永田ふるさとふれあいまつり」の中で2年に1度披露されるようになった。行例には、はんてん姿の永田小などの教諭や児童らも参加。まつりのメイン行事として定着していた。
消滅の危機救う
しかし、保存連メンバーの高齢化もあり、2015年の開催を最後に解散が決まった。これを知った町内会側は保存連に「一度なくしたものは二度と戻せない」と伝え、助郷の器具などを引き継ぐことを提案。町内会を中心に「保存会」を作り、南区の補助金制度を活用し、器具置場と資料展示場を探してきた。その中で永田小内のホールを使えることになった。部屋の名前は助郷や永田の歴史を学んでいた3年生が全校に呼び掛けてキーワードを募り、「永田村すけごうルーム」とした。
室内には助郷に使う「長持ち」と呼ばれる荷物を運ぶ器具や行例再現時の写真のほか、戦後間もないころの永田の人々の生活をとらえた写真などが展示されている。
11月29日に関係者を招いたお披露目会があり、6年生の男子児童は「助郷があったことは永田にとって誇りに感じる。卒業後もここに来たい」と話した。同連合町内会の服部孝祥会長は「永田の旧家に眠る資料がまだ多くあるはずで、それらを集めて、さらに充実させたい」と意欲を見せる。
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