2019年の幕明けにあたり、本紙は南区の大木節裕(ともひろ)区長にインタビューを行い、就任3年目となった18年の振り返りと今後の事業について聞いた。大木区長は南区の中でさまざまな形の連携が生まれているとした上で「『三方よし』を広げたい」と語り、人のつながりを意識した取り組みをさらに推し進めたいとした。(聞き手/門馬康二)
地域の工夫知る
――就任3年目の2018年の取り組みを振り返っていかがですか。
「毎年、5月から6月にかけて、16連合町内会がそれぞれの地域の課題などについて話し合う『地区懇談会』にPTAなどの若い方に加え、公共施設関係者も参加していただきました。参加者のアンケートでは、79%の方が満足しているとの回答でした。その中で地域活動の担い手、後継者不足が課題として多く出ていましたが、それを克服するために、町内会の防災訓練に子どもを呼んで参加者を増やした例など、ちょっとした工夫で良い方向へ進んだ例がいくつも聞くことができたのは成果です」
清掃でつながり
――就任以降、「地域の力」を応援することに力を入れてきました。
「井土ケ谷地区では、ボランティアらの交流会をきっかけに、住民、団体、企業を含めたつながりの輪を作ろうと、昨年11月の『つながり清掃ウォーク』で約200人が一斉にごみを拾いました。日ごろ行っている清掃活動を一緒に行うという、ちょっとした工夫で顔の見える関係づくりが大きく進みました。各所で行ったつながり清掃ウォークは、住民、学校、公園愛護会と土木事務所などのつながりを生むことができました」
――地域のさまざまな取り組みを支えるためには、区役所の体制づくりも重要になってきます。
「区役所も地域のちょっとした工夫に学び、職員自身が多くの人と連携して効率的に業務を進めていく必要があります。職員が『共感と信頼』を大切にし、横のつながりを作っていくことが必要です。戸籍や税など、窓口業務が多い部署では課をまたいだ研修を行うなど、庁内のほかの仕事も知るようにしています」
職員の意識変化
――庁内の連携はどのような取り組みにつながっているのでしょうか。
「認知症の方を見守ったり、情報提供をしてもらう店舗を増やそうと、管轄の高齢・障害支援課が商店街を担当する地域振興課と連携し、60以上の店舗などに協力していただくことができました。また、防災と福祉は庁内の別部署が担当しますが、地域の皆さんにとって切り離せないものであり、二つをつなげるような取り組みも進めていきます。地域の力を応援することが大事と言い続けてきた結果、職員の発案も増えてきました」
――区民の関心が高い災害対策は今後どのように取り組まれますか。
「これまでと同様に災害時の要援護者支援は丁寧にやっていきます。昨年夏に行った要援護者の名簿に関する説明会では町内会から好事例が紹介され、好評でした。継続して取り組めるような支援をしていきたいです」
――子育て支援に関する取り組みは。
「区内でこども食堂が多く開設され、子育てサロンなどを含めた居場所づくりが進む中、区と社会福祉協議会がネットワークを作っており、つながりを深めています」
顔が見える関係を
――19年度の事業の方向性を教えてください。
「基本は地域の力を応援することに変わりはありません。顔が見える関係をベースにし、地域の視点から事業に工夫をしていけるようにしたいです」
――最後に区民へのメッセージを。
「区役所が地域に寄り添い、共感と信頼をベースに横のつながりを作り、『南の風はあったかい』を実現できるようにします。そうして区役所の三方よしを地域の三方よしにつなげたいと思います」
南区版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|
|
<PR>