南消防団(涌井正夫団長)が2017年度に団員数を大幅に増やし、地域防災力の向上に寄与したとして、このほど、総務大臣から感謝状を受け取った。団員増加によって感謝状が贈られたのは全国で17消防団だけ。南消防団は企業や女性への働きかけを強化するなどして団員を増やしている。昨年11月には初めて定員を超えるなど、団員増加の流れが続いている。
総務省は全国の約2200消防団のうち、1年間で団員が大幅に増加したり、女性や学生団員を増やすなどした団に感謝状を贈っている。団員増加に対する感謝状は17消防団が受けた。
南消防団は17年4月から18年3月までの間に61人が入団、定年などで18人が退団したものの、43人の団員を増やした。同期間中、横浜市の全20消防団合計で141人が増えたが、南の43人増は20団で最多だった。今回、市内からは港南、栄の両消防団にも感謝状が贈られた。市内消防団は過去2年で計7団が対象となっている。受賞に関し、涌井団長は「全国の中から17消防団しか選ばれない中に入って光栄」と語る。
南消防団は2009年に寿、大岡の両消防団が統合して誕生。発足時は325人で定員の395人に対する充足率は82%だった。定年者の増加が続き、12年4月には充足率が6割台となり、定員を100人以上割り込む深刻な状況で市内20団で充足率最下位の時期もあった。
事業所・女性に活路
副団長だった涌井団長は当時を振り返り、「幹部だけではなく、全団員に増員への意識を持たせるようにした」という。団員の知り合いはもちろん、それまで手薄だった区内事業所の従業員の勧誘にも力を入れた。涌井団長は「人口が減り、会社員の団員は日中、区内におらず、昼間の災害のことを考えると、事業所の団員は重要」と話す。
また、15年には女性団員による「声楽隊」が結成され、広報活動で活躍。涌井団長によると、声楽隊に入って歌うことに憧れて消防団入りを決めた人もいるという。
これらの取り組みが功を奏し、団員が増加。17年度は43人、18年度もこれまでに58人が増えており、昨年11月には発足後初めて定員を超え、現在は404人にまで増えた。市全体でも1月1日時点で定員確保の目標を達成している。
南消防署の小出健署長は「大規模災害への備えが一歩進んだ」と話し、消防署だけではカバーしきれない大災害時に消防団の力が存在感を増すとしている。団員の急増により、経験の浅い人の底上げが課題となる。涌井団長は「団員が参加しやすい時間帯に訓練を行うなど工夫したい」と話す。さらに、「次の世代を育てる使命感がある」として、高校生などにも消防団の存在を知ってもらう取り組みにも力を入れる。
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