東日本大震災から1年を迎えた3月11日、各所で復興支援や防災に関する催しが多く開催された。道路や建物の被害、帰宅困難者の発生など、区内にも大きな影響をもたらした震災以降、区民の防災への関心は高まっている。
こうした中で、災害対策の一環として、非常用の備蓄品に関心を寄せる人も増加傾向にある。
防災機器の設置や販売を行う事業者で結成されている「横浜市防災機器販売協同組合」(旭区白根1-20-18/【電話】045・954・5011)によると、震災直後は特に関連商品への問合せが相次ぎ、全体的な品薄状態は現在も続いているという。
区民の反応に変化
区内・西谷で防災機器に関する相談・販売等を行う同組合員の平塚ケサ代さんは、地域の防災訓練などに出向き、備蓄品に関するアドバイスを行っている。
こうした場でも、非常食や簡易トイレをその場で購入する人が増えるなど「これまでとは反応が大きく異なった」と話す。
しかし、備えへの意識が高まる一方、同組合では「購入しただけで安心してしまう人が多いのも事実」と警鐘を鳴らす。備蓄品を購入しても、非常用持出袋に過剰に多くのものを詰め込んだり、持出袋の保管位置が適切でなかったりする場合、効果を十分に発揮できない可能性が高く、平塚さんは「防災訓練や自治会・町内会など、なるべく多くの場所に出向いて、正しい備えの仕方について地域の方々に説明していければ」と話している。
求められる「正しい備え」詰め込みすぎなど注意
最近ではホームセンターなどに広く設けられている防災用品のコーナー。家族で備蓄品を買いに訪れた人は「便利な非常食など実際の商品を目にすると、全て必要に思えてくる」と話す。
このような傾向はよく見られ、同組合にも「優先的に用意しておけば良いものは何か」「食糧はどれくらい必要か」などの問合せが多く寄せられるという。
こうした疑問に対して、組合の理事長を務める木内忠さんは「決まった答えというものはなく、家族構成はもちろん、一戸建て・集合住宅など住宅の状態によっても必要な備蓄は異なる」と話す。
家庭での備蓄品については、大きなバッグを用意している人も少なくないが、非常時に無理なく持ち出せる荷物は男性で15キロ、女性で10キロと言われており、詰めすぎには注意が必要。全てを1つのバッグにまとめるのではなく、貴重品・常備薬など「一時避難時、すぐに持ち出すもの」と「いったんは家に置いておくもの」など複数に分けた準備が有効とされている。
また、震災直後など防災意識の高い時期は持出袋を玄関先などに置いていても、だんだんと日常生活の邪魔になり、押入れの奥などにしまってしまうケースも多い。保管や非常時の持ち出しやすさを考慮すると、庭などにある倉庫や車の中も便利だという。
備蓄強化で品薄も
備蓄品に関しては、現在も続く物資不足も課題の1つ。
震災後、行政や自治会では今回の地震で発生した課題をもとに、備蓄品を充実させる動きが活発化している。一方、公共施設や大手企業などでは、震災直後、備蓄していた食糧等を被災地に支援物資として提供。これにより不足した分を、年度末を期に補充するケースが多く、こうした動きの影響から、現在も品薄状態が続いている。
災害への備えに関しては震災後、関心が高まっているが、物資不足や認識の不十分さなどから、多くの課題を抱えているのが現状。 木内さんは「物資の充実だけでなく、時間、場所など、いつどういった状況で被災するかをイメージし、どこに何を備えるべきかを考えておくことが大切」と話していた。
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