心肺停止状態となった人に適切な救急対応を行い命を救ったとして、保土ケ谷消防署(林久人署長)は4月末に「横浜個人タクシーテニスサークル」と「テニスサークルベネルディ」、神奈川県公園協会保土ケ谷公園管理事務所に感謝状を贈った。
2つのサークルは3月6日に保土ケ谷公園内でテニスを楽しんでいた際、同じく公園でテニスをしていた男性が突然倒れる場面に出くわした。心肺停止の状態で、公園管理事務所の職員とメンバーは119番に電話通報。横浜市消防局司令課の職員の指示を仰ぎながら、救急措置を施すと同時に、公園事務所から搬送したAED(自動体外除細動器)を使い電気ショックを与え、心臓の働きを取り戻そうと試みた。
救急隊が現場に到着した際には心肺が蘇生し、意識を取り戻した状態で病院に搬送。現場にいた市民らの適切な措置が功を奏し、一命を取り留めることができた。
メンバーらは地域の防災訓練で胸骨圧迫(心臓マッサージ)の応急手当訓練を受講した経験があり、林署長は「一致団結した連携と、公共機関などに設置されているAEDを使った奏功事例として今回の行動により尊い命が救われたこは素晴らしい」と話した。
除細動1分の遅れで社会復帰は10%低下
保土ケ谷区内では、昨年8月に天王町駅の電車内で心肺停止状態になった男子高校生が、乗り合わせた看護師らの心臓マッサージやAEDの応急救護によって意識を取り戻した事例もある。
心臓突然死の多くは、心臓の筋肉が不規則に震え、正常に機能せず、全身に血液を送り出すポンプの役割を果たせない「心室細動」という状態で起こる。このような状態で、電気ショックによりこの細動を除くことが正常に戻る可能性のある唯一の方法だ。
心室細動発生から除細動を行うまでの時間が1分遅れると社会復帰の可能性は7から10%ほど低下するとされている。AEDは電極パットの装着位置や操作を自動音声に従いながら進めるため、医師や医療専門職の人でなくても除細動を行うことができる。
3月の事例では過去に応急手当訓練を受けていたため適切に初期の対処ができたこと、AEDが園内に設置されていたことが消えかけた命を繋ぎとめた。
消防によると現在、区内には89台のAEDが設置されている。民間企業などでもここ数年、導入するケースが増加しており、「集客施設では積極的に設置してもらいたい」と、区消防署は話し、今後は救命講習などを通じて、より多くの人がAEDを操作する体験機会を増やしていきたいと考えている。
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