「横浜マイスター会」の新代表に就いた 関野 美三夫(みさお)さん 宮田町在住 84歳
決めた道を歩み続ける
○…市民の生活・文化に寄与する優れた技能職者を市が選定し、「マイスター」の称号を与える「横浜マイスター事業」。後継者の育成や貴重な技能継承を目的に活動する「横浜マイスター会」の新代表に就任。衣食住に関わる54人の匠がマイスターに認定されているが、現活動者の中で84歳は最高齢となる。「受けた以上は、力のある限り任務を全うする」と意気込む。
○…北海道釧路出身。幼少期からものづくりが好きで、小学3年生になると片道7キロも歩く小学校へ手作りのスキー板とストックで通い、周囲を驚かせた。義務教育修了後、「好きな道に進むのが一番良い」と大工の道へ。20歳のとき、建築を学ぼうと高校卒業認定試験と大学入試を受験し、関東学院大学の夜間学生に。経済的な困難もあり、大学の食堂経営者に「働かせてほしい」と頭を下げて頼み込んだ。その誠実な人柄を買われ、食堂のボーイとして働き始める。焼きたての柔らかいパンを均等に切る繊細な技を見た経営者が、「手職がある」と大学の営繕課に推薦。営繕課に勤めながら勉学に励み、親に仕送りをしつつ貯金した。
○…友人が思い悩んでいたことをきっかけに、「一緒に住んでみよう」と貯金をはたき、足りない分は知り合いに頼んで借りた資金で、卒業前に18坪の家を自ら建てた。当時の新聞に取り上げられ、「全国から手紙が届いて驚いた」と笑顔で振り返る。
○…趣味は囲碁・将棋。「何手か先を考えるのが好き。想像力が豊かになり、建設現場にも役立つ」。月3回は参加する宴席も楽しみの一つ。「80石は飲んだ」と豪語するほど大好きなお酒を片手に、友人と語らいを楽しむ。建築士として今年で71年目を迎える。これまで手がけた家は1400軒、育てた大工は34人。過去に忙しさから現場で2回も倒れたが、今後は「長生きして実績を伸ばし、後継者を育てていきたい」と向上心に目を輝かせた。
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