2011年3月11日午後2時46分。保土ケ谷でも最大震度「5弱」を記録したあの日のことは、誰もが記憶していることだろう。そう、東日本大震災だ。
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大きな被害に見舞われた岩手県山田町の出身で区内上菅田町に暮らす石崎久仁王さんの呼びかけで集まった有志らが、震災から2年後の春に帷子川に山田町でふ化した鮭の稚魚およそ150匹を放った。以来、毎年行われてきた事業は今年7年目を迎える。
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「横浜で一番汚い川」--。捺染業が多く存在し、周辺の生活排水や工場排水などが流れ込んだ帷子川はかつてそう呼ばれた。取り組みは東北の震災からの復興を願うと同時に近年、ホトケドジョウやトウヨシノボリの生息が確認され、アユが遡上する姿も見られるなど、豊かな環境を取り戻しつつある同河川の状況を地域住民に知ってほしいという狙いがある。
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当初は同町から譲り受けた卵を東京海洋大学の協力を得てふ化させていたが、15年からは受精卵を区内の幼稚園や小学校などに預け水槽で飼育。5センチほどに育った稚魚を帷子川に放っている。7年前、100人ほどだった放流イベントへの参加者は年々、増え続け、昨春は2千人近い人が集まる一大イベントへと成長した。「かつて横浜で一番汚い川と呼ばれた川に鮭が遡上する」という夢のある取り組みに多くの人が賛同している。
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今年も12月上旬に山田町の漁協から5千個の受精卵が届き、区内の幼稚園や小中学校など33カ所で育てられている。事業を主催する「帷子川に鮭の稚魚を放流する会」の関係者は「譲っていただいた貴重な卵。鮭はとても繊細でストレスに弱い、水温や水質の管理などに注意しながら大切に育てていきたい」と話す。飼育環境が稚魚の成育に大きく影響することから、事務局では今年、マニュアルを作成。より多くの卵をふ化させたい考えだ。
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鮭は一般的に5年ほどで放流された川に戻る習性があるといわれているが、これまで遡上は確認されていない。初回から7年。7センチから10センチほどに成長した稚魚を放流するイベントが今年は3月8日に川辺町の親水広場で予定されている。問い合わせは事務局(初音丘学園)【電話】045・331・3377へ。
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