保土ケ谷の地場焼酎「四百年の夢(おもい)」の原料となるジャガイモが長雨や日照不足の影響から不作となり、ほどじゃが焼酎の会と横浜小売酒販組合保土ケ谷支所は今年の新酒造りを断念した。不作により新酒が造られないのは初だという。
地場焼酎は明治から昭和にかけてジャガイモの種芋産地として全国的に名をはせていた保土ケ谷の歴史を多くの人に知ってもらおうと、区制80周年を記念した事業として2006年に誕生。区内の農家が育てたジャガイモの最高品種とされる「キタアカリ」が原料で毎年、鹿児島県内の「オガタマ酒造」が醸造を手掛けている。
毎年、川島町や岡沢町の農家が3月中旬に種芋を植え付け、6月中旬から掘り起こし作業を開始。7月中旬に鹿児島県内の醸造元へ配送し、7月下旬には仕込み作業が始まる。9月末には新酒が完成し、10月中旬に開催される「区民まつり」を皮切りに区内の酒屋やスーパーマーケットなどで販売されてきた。
半分にも満たず
今年は1200本を醸造する計画だった。原料となるジャガイモは900kg必要となるが、雨が続き日照が不足する記録的な天候不順の影響を受け、確保できる芋の量は半分にも満たず、苦渋の決断となった。
取り組みが始まった当初、醸造本数は700本ほどだったが数年後には約3千本にまで拡大。保土ケ谷の地場産品として定着した。
製造開始から10年を迎えるタイミングで瓶やラベルのデザインを変更、名称も「ほどじゃが焼酎」から「四百年の夢」に改め、第2ステージへと歩みを進めた。一時、在庫を抱える時期もあったが、現在は完売状態だという。
35度の原酒も
実は今年、地場焼酎は新たなステージに進む計画が練られていた。ラベルをリニューアルし瓶も以前の形に戻した「復刻版」の販売を予定。さらにはアルコール濃度35度の「原酒」の販売も計画していたという。
焼酎の会の金子宣治会長は「残念ながら今年は新酒を醸造することはできないが、これからも多くの方々に愛される地場焼酎を作り続けていきたい。新たな取り組みもあり、来年へ向け準備を進めていきたい」と話している。
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