宮城県気仙沼湾最奥部にある内湾地区は、帆船が船出に適した風を待ったことに由来して「風待ち」と呼ばれる。河岸として古くから栄えたこの町には、港町の文化を伝える歴史ある建物が文化財として残されていた。区内霞台の一級建築士事務所(株)ユー・エス・シー(兼弘彰代表)は2013年から、津波で大きな被害を受けた「風待ち」にある6棟の登録文化財の再建に関わっている。
昭和初期に建築され、国の登録有形文化財に指定されている酒屋「角星」は津波で2階部分のみ漂流、1階部分は瓦礫になってしまった。兼弘さんが携わった文化財の数々は、建物の一部が津波で完全に流出してしまったものや最上階部分のみを残して倒壊したものなど様々。建物の特性や現状に合わせて手法を変えながらの再建作業はまさに「技術が試される状況」だった。
「文化財の再建は復興の礎になる。町と一緒に時間を過ごしてきた文化財には力があるんです」と兼弘さん。地元の人の生の声を聴いて作業してきたが「気仙沼全体の復興はまだ5〜6割で、ようやく建築の復興がはじまったばかり。本当の意味での復興はまだ先になるのでは」と話した。
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