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保土ケ谷区版 公開:2021年3月11日 エリアトップへ

浅間下で居酒屋営む 神野昭生さん 南相馬で被災 原発被害で故郷離れ横浜へ 忘れ得ぬ自らの目で見た惨状

社会

公開:2021年3月11日

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居酒屋ねこ兵衛の神野代表
居酒屋ねこ兵衛の神野代表

 浅間下交差点(西区)近くにある「居酒屋ねこ兵衛」の神野昭生代表は、福島県南相馬市で震災を経験した。

 震度6弱の激しい揺れを観測した同市。沿岸部を9・3mを超える津波が襲い、市南部は福島第一原発事故の影響で甚大な被害を受けた。

 当時営業職だった神野さんは、海のそばにいるお客さんの元へ車を走らせている最中、突然の大きな揺れに襲われた。目の前で今にもひっくり返る勢いで揺れる車、海岸方面から建物が波で近づいてくるようす、街中に転がる船--。神野さんが自身の目で見てきた景色は「メディアで報道されている以上のひどい状況」だった。

 妻、娘、知的障害がある息子の家族全員が無事。自宅は原発の避難区域だったものの、一時的に親戚の家に行くことができたため避難所生活は免れた。神野さんは「息子を連れて、大勢が集まる避難所へ行くのはきっと無理だっただろう」と振り返る。

 放射能の影響で南相馬を離れることなった一家は、被災者へ一軒家を貸してくれる場所を西区内に見つけて移住した。見知らぬ土地でゼロからのスタート。「家族でできる仕事を」と2014年に店をオープンした。

 震災当時、猫を5匹飼っていたほどの猫好き。店名の「ねこ兵衛」も猫愛が由来だ。震災では、避難所が動物を受け入れられない関係でペットと離れ離れになった人もいた。「わたしたちより辛い思いをした人がたくさんいるよ」。店内に飾られた愛猫の写真を眺めながらつぶやいた。

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