日蓮宗樹源寺 副住職 日比宣仁 連載3 法話箋 〜鹿苑〜 「釈迦の説法」
釈迦は29歳で出家し、35歳で悟り、80歳で亡くなるまで、人々に悟りの内容を説き歩きました。
彼は出家前、万人が経験する生老病死(しょうろうびょうし)の四苦(しく)に問題意識を持ちました。「命あるものは等しく産まれ、その瞬間から老い、生涯で経験する精神的肉体的疲弊の末、病を患い、最後は死ぬ。これは誰一人避けられない。この苦をいかに克服すべきか?」ということを考えたのです。
つまり、釈迦の説法内容は四苦への対処が基本になります。ある時は「苦を滅するために瞑想すべし」と説き、またある時は「苦は幻の如しと理解せよ」と言い、あるいは「苦がなければ楽もない。苦は即(すなわ)ち楽なり」と述べました。
釈迦は、教えを聞く人の能力に応じ様々な説法をしたのです。その結果、仏教は多様に発展して行くことになりました。日本における多宗派の存在も、この釈迦の説法スタイルが原因と考えられます。
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