上菅田笹の丘小学校内にある博物館「ささやま丘の上ミュージアム」でこのほど、昔の経験を語り合う「回想法」の催しが開かれ、地域に暮らす認知症の高齢者らが「子どもの頃のお手伝い」をテーマに幼少期の思い出話を楽しんだ。
回想法は1960年代にアメリカの精神科医が提唱した心理療法で、過去の懐かしい思い出を語ったりすることで脳が刺激され、介護予防や認知症患者への活用に効果があるとされている。
会場となった同ミュージアム内には大正期から昭和初期にかけて地区内で使われていた農機具や民具など約150点が展示されている。高齢者にとっては「懐かしさ」を感じることができるこの空間に横浜国立大学の大学院生・千葉汰一さんが着目。「回想法」の会場として活用できるのではないかと考えたという。
千葉さんは卒業論文で横浜市内の学校内にある博物館をテーマに研究。フィールドワークを進める中、多くの博物館が施設の活用法に課題を抱えている実情があることを知った。
学校に寄贈されたものの歴史資料室に保管されたままの状態だった民具に光を当てようと2015年に開設された同ミュージアムは一般にも公開され、農機具の使用体験を企画するなどしているが、さらなる活用法を模索していた最中、千葉さんから「回想法の会場として利用してはどうか」と提案を受け今回の企画が実現した。
炭火式アイロンや洗濯板・羽釜
この日は「よこはま回想法クラブ」のメンバーが昔の農機具などを題材にしながら、「子どもの頃にしたお手伝い」をテーマに70代から80代の地域住民が、幼少期を思い出しながら会話を楽しんだ。車座になり語り合う参加者の中央には炭火式アイロンや洗濯板、羽釜など、幼少期に触れたことがあるであろう品々を配置。クラブのメンバーが中心となり、子どもの頃の思い出話で盛り上がりを見せた。
同ミュージアムの堤孝一事務局長は「この空間や収蔵品が、高齢者にとっては自身の人生の一時代を感じさせるものだということに気付かされた。こうした形でさらなる価値を生み出すことができる可能性を感じる」と話した。
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