洪福寺松原商店街の老舗店「いのまた陶器店」が8月30日、80年の歴史に幕を下ろした。
急須、茶碗、鍋などが店内に並ぶ同店は、市子嶋桂子社長の祖父と父親が第二次世界大戦の空襲で被害を受けた現在の同商店街付近でゴザ1枚を敷いて商品を売ったのが始まりだという。その後、地域に愛されながら商売を続けてきた。
「『いつか店付きの家を建てるんだという気持ちで商売を続けた』と、子どもの頃に父に聞かされたことがある」と話す市子嶋社長によると、大阪の堺市から仕入れた包丁や約50種類の線香なども多く売れたと言い、「周辺地域のみなさんに支えられてここまで続けてこられた」と感謝の言葉を口にした。
最終日はあいにくの天候となったが、同店に足を運ぶ人が多く見られた。閉店30分前には同商店街の仲間たちが駆けつけ、サプライズで「お疲れ様」の合図でクラッカーを鳴らす場面もあり、市子嶋社長は「みんなありがとう」と言葉を返し涙をにじませた。
また、近隣に住むという女性は「商店街のシンボルのようなお店がなくなってしまうのはさみしい」と閉店を惜しんだ。
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