横浜市 孤立死対策、民間と連携 「緩やかな見守り」始動
高齢化や地域関係の希薄などから、誰にも気づかれない状態で亡くなる「孤立死」が全国的な問題となっている。市はこのほど、孤立化・孤立死を未然に防ごうと、日常生活に密着したサービスを行う事業者7社と協力し、「緩やかな見守り」をスタートさせた。
市は昨年5月、全国で相次ぐ孤立死の発生を受け、「孤立予防対策検討委員会」(豊田宗裕委員長)を設置した。この中で、孤立死に至ったケースを分析すると、地域の中で孤立した高齢者や生活困窮者だけでなく、保護者や介護者が亡くなったことで、その子どもや要介護者までが死亡する事例や、30、40代の若い世代と同居しているのに家族全員が死亡した事例などがあり、新たな傾向が増え始めていることも分かった。また共通した特徴として、「自治会・町内会に未加入で、近所づきあいもなかった」「行政や地域の支援、サービスを拒否していた」などの背景が浮かび上がってきた。
豊田委員長は孤立化の防止について「自ら積極的に情報発信を行うことや困ったとき『助けて』と言える環境や意識づけをしていくことが重要」とし、「ただし自ら助けを求められない状況も想定されるため、日常生活の中でさりげなく様子をうかがう『緩やかな見守り』を広げていく必要があると委員会の中で結論付けました」と話す。
検討委員会での見解を反映し、従来から実施している定期的、専門的な見守り事業に加え、より重層的なつながりの促進を目的に、地域密着のサービスを展開する事業者と連携を締結。1月中旬から「緩やかな見守り」の運用を開始した。
協力事業者は、県LPガス協会(市内5支部)、京浜新聞販売組合、生活協同組合コープかながわ、日本郵便(株)南関東支社、東京ガス(株)横浜支店、東京電力(株)神奈川支店、横浜市水道局の7社。各業者が定期的に行う配達や検針、集金などの業務中、郵便物の未回収や公共料金の滞納といった生活の異変に気付いた場合は、警察や消防、区役所などの機関に連絡する。
地域のつながり強固に
今後、ますます単身高齢者や高齢夫婦世帯の増加が加速すると予想され、多様な家庭環境に対応した孤立予防対策が今以上に求められる。
豊田委員長は「7事業者が取組に加わることで、まさにさりげない見守りを行う人が地域の中に増えることになります。協力者を増やすことで少しずつ地域のつながりが強固になり、気軽に声を掛け合える関係づくりが構築されれば」とその効果に期待を寄せる。
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