「絵手紙とひょうたんのコラボ展」で最後のひょうたん展示を行う 木島 千隺夫(ちずお)さん 下末吉在住 71歳
一途なひょうたん職人
○…ひょうたん作りを続けて約10年。5月9日から開催される「絵手紙とひょうたんのコラボ展」を最後に、作品展示からは身を引くという。作品制作は、自宅で種を蒔くところから。愛情をたっぷり注いで実らせた後、およそ2カ月かけて繊細でユニークな力作へと仕上げる。「一人でコツコツやるのが好き。定年後の遊びができてよかった」。自宅に並べられたひょうたんを見ながら、照れくさそうに話す。
○…生まれは長野県。18歳で川崎へ越し、電気工事会社に就職。定年まで勤め上げた。ひょうたん作りはひょんなことから始まった。「ホームセンターに苗が百円で売っていたから買ってみた。形がいいのができたから面白いなって」。作品数は年間平均約70個。職人気質な性格が相まって、制作にのめり込んでいった。作品を見た知人は驚嘆。薦められるがまま6年前にはじめて神奈川区民ホールで展示を行い、およそ500人が来場するほどの盛況ぶりだった。
○…一つ年上の「姉さん女房」と二人暮らし。自慢の力作コレクションを、「女房はあげたがる」と冗談めかすが、相性はバッチリ。来年で結婚50周年を迎える。夏には自宅に孫や親せきを招いてのバーベキューが恒例行事。「実ったひょうたんを見ながら晩酌する」と、家族とともに幸せなひとときを過ごす。
○…展示をやめにするのは、体力の衰えから。「重いものだと30kgにもなる」。それでも、ひょうたん作りの探求は続ける。毎年茨城県まで出向き、全国からひょうたん愛好家が集う「ジャンボひょうたんの会」に顔を出している。「アレンジ法を学んだり、新しい形の種をもらう。刺激になる」とさらなる技術向上を目ざす。究極の目標は「自然のままの、完璧な形のひょうたんを育てること。満足のいく作品はまだ作れていない」。奥の深い「ひょうたん道」に心をくすぐられ、職人は歩みを続ける。
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