市が自治会等に対し、一人暮らしの高齢者など、災害時に自力で避難が困難な要援護者の個人情報を提供する「情報共有方式」の導入が、鶴見区でも6月から始まる。平安町自治会(河西英彦会長/3千世帯)をモデルに実施されるもので、鶴見区では市の方式に、訪問員の拡充や関係機関連絡会の設立という独自策も追加。4月25日、モデル地区となる平安町自治会をはじめ、警察、消防といった「要援護者」の見守りに関わる機関による第一回目の連絡会があった。関係者は「新たな安全・安心の形になる」と意気込む。
今回、新たに導入される「情報共有方式」は、市が昨年2月に横浜市震災対策条例を改正して盛り込んだ新方式。要援護者に名簿登録を事前通知した上、拒否者以外は、未回答も含めたすべての対象者の情報を提供するというものだ。
これまで市は、要援護者の個人情報を自治会等に提供する手段として、支援を望む対象者が名簿登録を申し出る「手上げ方式」と、同意を得た対象者のみを名簿に反映する「同意方式」を採用していた。鶴見区では同意方式で取り組みを進めていたが、今年4月現在、区内全体1万1千人の要援護者に対し、名簿登録は4400人と、4割にとどまっていた。
平安町をモデルに
鶴見区ではこうした状況を踏まえ、情報共有方式の導入を決定。これまでも民生委員と保健活動推進員による「複数人数での見守り」を実践してきた平安町をモデル地区に選定した。
区は平安町の活動実績などをもとに、独自策にも取り組む。従来、見守り活動を主に推進してきた民生委員の負担軽減策として、区が主催する個人情報保護研修を受講した町民らを訪問員に選定し人員を拡充する。また、有事の際、自治会だけでは対処できない事態などを見込み、見守り活動の支援組織として関係機関連絡会を立ち上げた。
登録援護者3倍に
モデルとなる平安町の全要援護者は266人で、同意方式では77人が登録していたが、新方式導入後は217人と3倍近く増えることになる。
訪問する側も、6人の民生委員に加え、研修受講者の中から90人を選び拡充した。活動は、区からの名簿提供を待って、6月から開始予定。連絡会で河西会長は「災害時だけと考えがちだが、見守りは平常時こそ大切。いざというときに専門の皆さんに助けてもらえるのはありがたい。顔の見える付き合いを」と協力を呼びかけた。
区は、今年度末にモデル事業の検証を行い、今後全区に広げていく考えを示している。
鶴見区版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|
|
<PR>