日本最大の基礎自治体・横浜市の中で、市内3番目に多い人口28万人を抱える鶴見区。新春にあたり、その区行政においてトップを務める征矢雅和鶴見区長に、今年度の事業の進捗や、今後の展望について話を聞いた。(聞き手/本紙・浜田貴也)
「自助」「共助」を支援
――昨年を振り返って。区の重点事業として防災を挙げられていたと思いますが、事業の進捗等はいかがでしょうか。
「昨年を振り返って、特に印象に残るのは、8月の豪雨による広島の土砂災害でしょうか。74人の命が奪われ、重傷・軽傷を合わせると実に100人を超える人的被害と、全壊を含め4500戸を超える住家被害がありました。また、市内では、台風18号に伴う土砂崩れによって、2人の命が奪われるなど痛ましい被害がありました。これらの災害から我々が教訓とすることは、被害を可能な限り未然に防ぎ、また、最小限にするためには、やはり皆さまの日頃の備えである『自助』と地域の助け合いとしての『共助』が必要不可欠であるということです。
そのような中で、区内に目を向けますと、昨年は、地域や事業者の皆さまとの防災における連携が進められた年でした。
まずは、總持寺や総持学園との連携についてですが、10月に『災害時における施設等の提供協力に関する協定』を締結させていただきました。これによって、帰宅困難者の受入れやトイレ、水の提供など様々なご協力をいただけることになりました。
また、臨海部に位置する鶴見区特有の課題である津波対策という面では、物流施設の運営事業を展開するグローバル・ロジスティック・プロパティーズ株式会社との連携が挙げられます。同社は、生麦2丁目に施設を有していますが、周辺は津波避難対象区域とされているため、地域の皆さまから、『安全性の高いこの施設を使用させてもらえないか』というご要望をいただいていました。
そこで、同社と協議を重ね、10月に、『津波発生時における施設等の提供に関する協定』を締結し、津波避難者に対して、一時的に施設を開放していただけることになりました。また、施設入口が住宅地の反対側にあるなどの課題については、門扉、通路等の設置を協力して行うなど、より安全で効率的に避難ができるよう改善されました。
さらに、地域と事業者の皆さまとの連携も進められています。6月に、駒岡地区連合会、寺尾地区自治連合会とトレッサ横浜によって、『災害発生時の応援協力に関する覚書』が交わされました。これにより、地域の災害時の一時的な避難場所として、トレッサ横浜を活用させていただけることになりました。さらに10月には、共同防災訓練が行われるなど、今後地域における共助の取組が一層進むものと期待を寄せています」
健康増進へ事業展開
――鶴見区は健康寿命が市内18区中最低レベルにありますが、区民の健康増進のための取組についてお聞かせください。
「現在、平均寿命や健康寿命を延ばすため、区独自に『ヘルスアッププラン』事業を推進しています。
まず、18区の中で『健康づくり推進会議』を先駆的に実施していますが、これは、企業、医療関係者、学校、保育園、地域の関係団体、行政等が新たなネットワークを構築し、効果的な健康づくり事業の推進を目指しています。成果として、顔の見える関係になった地域ケアプラザとドラッグストアの協働による健康チェック事業、食生活等改善推進員とJAによる食育講座、保健活動推進員による健康講座で済生会横浜東部病院の医師が講師になるなど、新たな連携による取組が数多く生まれています。
次に、市では『ウォーキングポイント事業』を進めていますが、鶴見区でも『あなたも姿勢美人』〜ウォーキング講座〜を実施しています。平均歩数の増加や歩く姿勢が良くなることにより、体調や生活習慣の改善が見られています。
さらに、妊婦の方への歯周病予防啓発や1歳児親子歯みがき教室、幼児の食育教室、3歳児健診時の食育ミニ講座など、妊娠中及び乳幼児期から健康的な生活習慣が身につく取組を進めています。このほか、介護予防のための『ひざひざワッくん体操』を保健活動推進員が中心となり普及に取り組むなど、様々な健康増進事業を展開しています」
協働でまちづくりを
――最後に、区民へのメッセージをお願いします。
「あけましておめでとうございます。区民の皆さまにおかれましては、希望に満ちた新春をお迎えのことと心よりお慶び申し上げます。また、日ごろから区政の推進にご支援とご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
鶴見区では、今年も若い世代を中心に人口の増加が見込まれます。また、鶴見の玄関口である鶴見駅東口駅前広場の整備が完了を迎え、臨海部と内陸部を結ぶ横浜環状北線の整備の進捗などとあわせ、まちは大きく変わろうとしています。
そうした中でも、地域の絆や伝統、歴史的な催事などは、地域を愛する皆さまによって大切に引き継がれています。古いものを大切にし、新しいものを受け入れていくこの鶴見が、より魅力的で元気なまちとなるよう、皆さまとともにまちづくりに取り組んでいきたいと思います。今年もよろしくお願いいたします」
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