NPO法人かながわ311ネットワークの理事として、被災地支援に尽力している 谷本 恵子さん 北寺尾在住 55歳
被災地と県民の繋ぎ手に
○…ボランティアバスの派遣や被災地の食を広める「復興キッチン」の運営など、今なお支援に力を入れる「NPO法人かながわ311ネットワーク」。県のボランティアネットワーク事業から派生した同団体の理事を務める。「いざという時手助けできるよう、のんびりしていられない」。30年以内に7割の確率で起こるといわれている首都直下地震に備え、「自分にもできることを」と奔走する。
○…3・11では家族も被災した。茨城県の母の実家は床上まで浸水。漁師のおじは海上で辛くも津波から逃れたということもあり、いてもたってもいられなくなった。「何かできないか」。テレビでボランティアバスの存在を知り、2011年7月にはじめて宮城県石巻市を訪れた。「テレビで分かっていたつもりだったけど…」。津波に全てを奪われた沿岸部を見て衝撃を受けた。印象に残っているのが、側溝の泥だしンボランティア。「担当した地域が大雨でも冠水しなかった。役に立てたんだと実感した」。被災地ではボランティアリーダーとして現地での様々な調整を担当。事業期間の2年が経つと、現地とのつながりもすっかり深くなっていた。「2年じゃ足りない。続けよう」と、同団体の理事に就任した。
○…アクティブに駆け回る一方、休日は本の世界に浸る。なかでも村上春樹の『ノルウェイの森』は何度も読んだお気に入りの一冊。「読みだすと止まらなくて。独特の世界感で入り込めておもしろい」と魅力を熱弁。「小さい頃から読書が好き。一気に読んじゃうタイプ」と明るく笑う。
○…「震災直後、被災地近くのパーキングエリアはボランティアバスでいっぱいだったが、今は全然いない」。あれから4年、記憶の風化を実感している。「自分ひとりでは何もできないかもしれない。けれどもバス一台、35人なら力になれるかもしれない」。前向きに力強く、神奈川と被災地をつなぐ架け橋となる。
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