プロ作曲家で「寺尾奉行音頭」の作曲を担当した 黒浜 たか志さん 東寺尾在住
「縁」を大事に音紡ぐ
○…演歌界の大御所、故・村田英雄さんの「黒田節くずし」など、これまで約900曲を生み出した敏腕作曲家が、寺尾のご当地音頭「寺尾奉行音頭」を作曲した。東寺尾へは昨年12月に越してきたばかり。それでも「これも何かの縁。まちおこしになれば」と快諾した。「孫子の代まで残るもの。おかげでまた創作意欲がわいてきた」と笑顔を見せる。
○…小学6年生の頃、ラジオから流れてきたフルートの音色が、音楽の才能を目覚めさせた。それまで興味が無かったという音楽のラジオ番組をかじりつくように聞き、高校では全国の声楽コンクールで見事優勝。東京藝術大学卒業後に「葉山浩二」の名で歌手デビューを果たした。レコードは5万枚以上を売り上げるなど順調な滑り出しだったが、多忙が祟ってか24歳で結核を患い、生死の淵をさまよった。「声が出なくなって」。やむなく歌手を断念。その後相模原でイタリア料理店を開くと、活性化に苦心する所属商店街からご当地音頭の制作依頼が届いた。「商店街の活性化につながればと思って。これがはじめての作曲」。30歳、第二の音楽人生の幕空けだった。
○…旅行が大好きで、これまで最愛の妻と全国を旅してきた。なかでもお気に入りは北海道。「普通は避けたがるけど、真冬に行くのが通なんだよ」。キタキツネを見た事や、知床の流氷ウォークなど、矢継ぎ早に思い出話をこぼす。「話し出すと止まらないから」とニヤリ。自他ともに認めるおしゃべり好きだ。
○…「寺尾奉行音頭を皮切りに、ご当地音頭を色々つくってみたい」。昨年心臓の大手術をするも、作曲活動を通じてみるみる回復。音頭の完成で、若かりし頃に地域のためにと音を紡いだ記憶がよみがえるようになったという。「人間に偶然はない。せっかくここに来たのだから、ここで自分の才能を活かしたい」。不屈の作曲家の音色が、地域を盛り立てる。
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