鶴見大学先制医療研究センターと横浜市歯科医師会が、大規模災害などで亡くなった人の身元確認のため、生前の歯科診療情報を蓄積して照合する新システムを開発した。両者が昨年10月に結んだ包括連携協定によるもので、来年早々の本格運用を目ざす。
システムは文科省の助成を受け開発された。患者が最後に受けた歯科診療情報をデータ化し、拠点となる鶴見大のメーン装置に蓄積。大規模災害等発生時、自治体や歯科医らと連携し、身元不明となった遺体の情報と照合して確認する。遠隔操作が可能な端末とも接続し、遺体安置所など被災現場での活用も視野に入れている。
生前の歯科情報は、患者の承諾を得た上で、市歯科医師会会員の歯科医らが収集・入力する。協力医は今後募り、2、3年かけて成果を披露するという。
開発に携わった同大の佐藤慶太教授は、「災害はいつくるかわからない。体制づくりが重要。運用しながら性能をあげていきたい」と話す。
震災契機に開発
きっかけは東日本大震災。佐藤教授は発災3日目には要請を受け現地入りし、歯科情報による身元確認作業に従事。現地では津波でカルテなど診療情報が流出しており、照合作業は難航したという。
延べ3400人の歯科医師を動員し、被災3県で6割ほどの遺体から歯科情報を集めたが、身元確認できたのは7・9%。歯科情報と並び、身元確認に有効とされる指紋や血液(DNA)よりも上回ったが、「生前情報をどこに置くかが課題と感じた」と佐藤教授は振り返る。
全国展開望む
9月24日、関係者らが出席した同大での運用説明会で伊藤克子学長は、「全国に広がるように協力を」と呼びかけた。市歯科医師会の杉山紀子会長は「いざという時に機能するよう努力する」と決意を表明した。今後は運用しながら、照合精度の向上や情報管理のルール強化、体制の充実などを図っていくという。
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