ローリングバレーチーム「にこにこ会」の会長として、障害者の社会復帰を後押しする 岩崎 捷利(しょうり)さん 岸谷在住 70歳
逆境に「勝利」して
○…脳卒中などの後遺症で体が不自由になってしまった人でも、座ったまま楽しめる「ローリングバレーボール」。会長兼監督を務める「にこにこ会」が、9月26日に行われた県大会で初優勝を果たした。「出るからには勝って当然」と言い切るほど、名前に違わぬ負けず嫌いだ。「優勝したからこそ連覇に挑める」と兜の緒を締める。
○…55歳の時に脳卒中で倒れ、後遺症として右肩から指先にかけて麻痺が残った。リハビリの最中に区が立ち上げた同会と出会い、すぐに競技に魅了された。「来たボールに対して、四つん這いになってでも触ろうとする。自然と体を動かすことがリハビリになった」。入会当初に圧倒された強豪との対決は今でも思い出す。「格の違いを見せつけられた。忘れられない」。闘争心に火が点き、競技にのめり込んでいった。
○…術後百日を経過しても指が動くことは無かったため、医者には「99・96%ダメです」と断言された。だが「言われて奮起した」。不屈の精神で時には一日6時間、人の倍以上メニューをこなした。「動けたのに動けなくなるのは歯がゆい。死んじゃったほうがいいという考えもよぎった」。そんな苦しみを妻が支えた。家に帰ってからも毎日一時間、妻と一緒にリハビリ。1年後には肩が上がるようになり、奇跡的に指も動きを取り戻した。「助けがなかったら指は動いていなかった」と感謝は絶えない。
○…「ローリングバレーを国体競技にしたい」。競技に打ち込み回復していく会員の姿を見て、使命感に燃えている。「リハビリは自分で楽しもうとしないと、苦痛になってしまう」。同じ境遇の仲間とともに、楽しみながら鍛えられる競技の普及は悲願だ。「会の目的は社会復帰。少しでも動ける体になれば」と、練習日には送迎まで請け負う。「継続は力なり。リハビリの手段を広げてもらえれば」。諦めない人々の背中を押し続ける。
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