(一社)鶴見区医師会会長として鶴見の医療発展に尽力する 原 直(ただし)さん 下末吉在住 59歳
受け止めた責任、全うする
○…会員数243人、12の病院に、135の診療所が所属する区医師会。今年6月、会長に就任した。人口分布の多い団塊の世代が75歳以上となり、社会保障費増大が懸念される2025年問題を前に、地域完結型の医療構築を目ざす。「今の医療は大きく変わる。会だけではできない。介護や行政などとも連携しないと」。強みとする活発な在宅部門を軸に、喫緊の課題に立ち向かう。
○…物心つくころから鶴見に住む。1998年から、母が開いたクリニックを継ぐが、実は哲学専攻だった。「直接言われてはないけど、子ども向けの医療本なんかはあった」。無意識的な反発。そんな心から、興味のあった哲学の道に。大学院まで進むも、先輩らが一人、また一人といなくなった。「就職先がなくてね」。28歳のとき、学び直し、聖マリアンナ医大に入学した。
○…「アリストテレスの認識論が研究テーマで…」。プラトン、ガリレオ、トマス・アクィナス――有名な哲学者の名前を挙げ、目を輝かせながら話す。まだまだ興味の尽きない哲学の書を読むのが息抜きだ。「ありのまま素直に全力で受け止めること」。学び得た自身の哲学は、生活にも役に立っている。ただ、クリニックに会長職、今は没頭する時間はない。「それは引退してから、定年後の楽しみ」と笑う。
○…鶴見を何とかしたい。連綿と続く先輩からの目的意識が、会の方向性を示す。「みんな自分だけでなく、地域を見ている」。まとまりの良さを自負する。引き継いできた基礎を発展させ、次世代につなぐ。会長としての役目だ。区内の在宅ケアを支えようと、医療、介護、行政などで連携を図る「つるみ在宅ケアネットワーク」も、発足5年を迎えた。「介護従事者も鶴見の人は意識が高い。区民に活動を伝えていきたい」。この街で安心して生きていけるように、医師会として地域に責任を持つ――受け止め、全うしていく。
|
<PR>
|
|
|
|
|
|