28万人――市内でも3番目の人口を誇り、現在も増え続ける鶴見区。各年代における区民ニーズも多様化する中、新春にあたり、区政運営の舵をとる征矢雅和鶴見区長に、今年の展望や抱負などを聞いた。(聞き手/本紙鶴見区版編集長・浜田貴也)
災害対策など強化
――まずは昨年を振り返って。
「昨年、特に印象に残っているのは、9月に関東と東北地方を襲った豪雨被害でしょうか。鬼怒川の堤防決壊と濁流にのまれた住宅街の様子に皆さんも大きな衝撃を受けたと思います。
この災害から教訓とすることは、『災害に市境は関係ない』ということです。新聞によると被害の大きかった自治体では、市内高台への避難を優先したとのことでした。それが被害の拡大につながったかどうかは判断できませんが、急を要する場合、より安全な場所が近くにあれば、たとえそれが市外であったとしても、まずはそちらに避難すべきだと思います。
南北に鶴見川が流れ、市境に位置する鶴見区でも同じことが言えるのではないでしょうか。折しも、地域の方から『大規模災害発生時に鶴見川を渡って避難場所に向かうことが可能なのか』という声が挙がっていたこともあり、『最大限の安心・安全』のために何が出来るかと議論を重ね、昨年11月に、鶴見区とお隣の川崎市川崎区、幸区との間で防災を中心とした包括連携協定を締結しました。
今後は、発災時の対応訓練など具体的な連携強化をはかるとともに、他の様々な分野でも隣接という強みを活かした取組を進めていきたいと思います。
また、昨年も区内では、各所で様々な整備や取組が進められました。
まず、玄関口である鶴見駅ですが、東口駅前広場の整備がようやく完了し、バスやタクシー等、交通の円滑化が図られ、駅利用者の利便性も向上しました。
横浜環状北線・岸谷生麦線については、2017年3月の完成を目標に整備が進められていますが、臨海部と内陸部に加え、鶴見川や鉄道で分断されている区内南北のアクセス向上が見込まれ、大きな期待を寄せています。
『鶴見駅中距離電車停車等推進期成会』の活動も、市への要望書提出など積極的に進められています。関係各所との調整や財政面における課題はありますが、神奈川東部方面線『相鉄・JR直通線』の鶴見駅停車が実現すれば、品川、羽田、新宿といった東京方面や県央方面へもアクセスが強化され、羽田空港の国際化とあいまって、区の発展に大いに寄与するものと考えています」
待機児童や認知症対策を
――鶴見区は、各年代でまだ人口が増加しているが、幅広いニーズに応えるための各種事業の展開は。
「3年前、私が区長に就任した時に27万人だった区の人口は、28万人を超え、特に、鶴見川より東の地域では相次いで大規模なマンションなどが建設され、著しく人口が増加しています。推計では、市全体の人口が、2019年の373万人をピークに減少に向かうと予測されている中、鶴見区の人口は、引き続き増加が見込まれています。
これは、まちに活力と賑わいをもたらし、非常に喜ばしいことですが、一方で、子育てや高齢者支援など様々な施策の充実が必要となります。
子育て支援では、待機児童の解消に向け、新設園の整備のほか、保育・教育コンシェルジュによる様々な保育サービス情報の提供等、一人でも多くの方に保育所等をご利用いただけるよう取り組んでいきます。
また、区内の65歳以上の高齢者の人口は、5万6千人にのぼり、介護を必要とされる方も、昨年度、ついに1万人を超えました。さらに、認知症の高齢者も年々増えており、推計では区内に約9千人の方がいると言われています。高齢者支援として地域での見守りを充実させ、緊急時や災害時にも役立つ支えあいの関係づくりを進めていきます」
90周年に向け地域と連携
――最後に、区民へのメッセージを。
「あけましておめでとうございます。鶴見区は来年、いよいよ区制90周年をむかえます。歴史のあるまち鶴見のさらなる発展を目指し、区民、企業・団体の皆さまと連携をしながら、地域の課題解決に向けた取組をさらに進めていきたいと思います。
本年も引き続き、ご支援ご協力を賜りますようお願いします」
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