区内各病院や鶴見、神奈川両区役所、近隣の学校や自治会など、30以上の機関が連携する鶴見区災害医療訓練が1月24日、済生会横浜市東部病院をメーン会場として開催された。地震による大規模災害を想定し、病院による医療訓練と同時に、地域防災拠点やボランティア派遣を行うなど、複数の関係機関が連携した訓練は市内で初の試み。関係者は「地域全体の公共的な訓練になった」と成果を口にした。
県から災害拠点病院として指定を受ける東部病院が、2007年の開院以来続けている災害医療訓練を拡大させたもの。東部病院は、東日本大震災以降、「病院も被災する」ことを想定するなど、毎年テーマを持った災害医療訓練を実施してきた。病院単独で行う中、3年前、初めて鶴見区と連携。昨年には、市が各区に設置し、区内では医師会や警察署、社会福祉協議会などが名を連ねる鶴見区災害医療連絡会議に協力を呼びかけ、汐田総合病院や佐々木病院など区内5病院らと合同で実践していた。
特別避難場所も
今回は、区内外の医療関係から行政、住民など、30以上の機関・団体から約800人が参加。東部病院での重傷者受け入れや、災害時に病院情報を集約する区医療調整班本部を立ち上げ、各機関との無線通信など、有事の連携を確認した。
また、住民ら協力のもと、矢向中学校と下末吉小学校で地域防災拠点を開設。模擬患者を東部病院や汐田総合病院に搬送した。矢向地域ケアプラザには、地域防災拠点での避難生活に適応できない、在宅療養中の高齢者や障害者といった要援護者受け入れのための特別避難場所を設置。東部病院からの受け入れもあった。
有事の現場、理解必要
訓練中、参加住民が東部病院の様子を見学する場面もあり、指揮を執った同院救急科の山崎元靖医師は「市民参加型になったのは、災害時に病院がどう動いているのかを理解してもらう上ですごく大きい」と話す。
災害拠点病院となる東部病院は、災害時には重傷者の受け入れが主になり、中等症以下の患者は地域の病院やクリニックが中心となる。実際、百人の患者が一度に来ただけで「東部病院の機能は低下する」と山崎医師。さらに、被災した院内で医師や看護師が治療に専念するには、ボランティアの存在が欠かせないとし、「病院の役割や状況を認識してもらえたのはよかった」と充実感をにじませた。
無線通信に課題
一方、傷病者の搬送先を指示する区医療調整班本部と通信ができなくなるなどの課題も出た。同本部で作業にあたった区福祉保健課の内藤恵子課長は「無線がつながらず、衛星電話で対応するなど、情報が滞るときがあった」と振り返る。
山崎医師は「2重、3重に連絡手段が必要だと感じた。区だけに頼らず、自分たちでも情報を集めなくては」と解決策を検討する考えを示した。今後も毎年新たなことを積み重ね、地域に沿った訓練にしていきたいという。
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