駒岡在住で76歳の古川芳子さんが、4月18日にデンマークで開かれた世界ベンチプレス選手権大会マスターズ70歳代の部52kg級に出場し、自身の世界記録を更新し優勝。選手生活を支えてきた夫を失い、悲しみを抱えながらも、大会3連覇を果たした。
古川さんは、16年ほど前からベンチプレスを始めた。高血圧などに悩まされ、筋トレをしていたところ、トレーニングコーチから勧められたのがきっかけだった。身長142cmと小柄ながら、体幹の良さもあり、すぐに頭角を現し、日本記録を更新。世界大会には2014年から挑戦し、初出場から優勝を重ねてきた。
「平常心」を強みに、大きな試合でも安定した力を発揮してきた古川さんだが、今大会前はその精神力が崩れかけた。夫・芳雄さんが亡くなったのだ。練習に身が入らない時期もあったが、周囲の励ましもあり、世界への挑戦を決意した。
亡き夫も側に
試合前日は、睡眠時間が不十分でコンディションはベストではなかった。そんな時、日本人の男性選手から励まされた。男性も12年前に妻を亡くしていた。「『旦那さんも一緒についてきてくれています』と言われ、心が休まった」
本番では「70kgを上げる」覚悟で臨んだが、相手選手の調子が悪く記録が伸び悩んだため、前回記録から0・5kgプラスとなる64kgに留めた。「物足りなかった」と苦笑いする。
試合前日に励ましをくれた男性は、古川さんの姿を見て「(試合に)旦那さんもいらっしゃいましたよ。僕も新記録を出します」と決意。自らのファイトで男性を元気付けることができたと思えたという。
今後も世界で挑戦したい思いは変わらない。「今度は70kg以上を上げたい。まだまだ鍛えなきゃ」。世界大会は再来年、日本でも開催。2年後のホームでの活躍も期待される。
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