二度にわたる最大震度7など、またしても「想定外」となった熊本地震。前号(5月26日号)に続き、横浜市から第一次派遣隊として、熊本市で避難所運営の支援にあたった鶴見区危機管理・地域防災担当の川島正裕係長のインタビューを掲載する。今回は、派遣を通し、改めて伝えたいことなどを語ってもらった。(聞き手/本紙鶴見区版編集長・浜田貴也)
――今回、はじめて被災地の避難所運営に深く携わったと言っていた。経験踏まえ、改めて感じた、やらなければいけないこと、伝えたいことは。
「まず、発災したら行政はがんばります。熊本市の職員なども、寝ずに避難所に張り付きでがんばっていた。それでも、何かあったら公的機関が助けてくれるだろうではなく、自らの命は自らで守ってほしい。
行政が動き出すまでは自分たちで耐えること。少なくとも最初は自分たちで生き残るという気持ちを強く持ってほしい。
きっと横浜市で大規模災害があったときは、私自身、自分の無力さを確実に感じるだろう。本当はもっとやりたいと思いながらも、体は一つしかない。熊本市の人もそう思っていると思う。
実際、鶴見区の人口は28万人。区の職員は嘱託を入れても600人ほど。行政職員も被災する可能性があることを含めると、応えたくても応えられない現実があると思う」
――熊本では指定外に避難して物資が届かないケースがあった。人口の多い横浜での大規模地震を考えた場合、もっと備蓄や準備をしていかないといけないか。
「自分の安心がどこまでかで準備は変わってくるので一概に言えない。
横浜市が『避難所』ではなく、『地域防災拠点』と呼ぶ理由は、避難者の生活だけでなく、情報や物資、人助けの中心も、すべてそこに集めるという意味で拠点としている。
仮に今回の熊本のように車中泊などが広がったとしても、拠点に行けば物資などが手に入るというのが、横浜の目ざす姿。
避難生活は、可能なら自宅の方がストレスなくできる。情報や物資を集めるのは拠点。個人的には熊本を経験したからこそ、この横浜市のシステムは良い。避難所運営の考え方も間違えていないと感じる。
だが、それを浸透させる難しさはある。まだ、拠点について、『ただ避難しにいくところ』『何かあったら助けてくれるだろう』と思っている人も多いと思う。実際、私もこの仕事につくまではそうだった。
防災・減災について知ることも重要。知識を備えたら拠点訓練や街歩きなどで体験して身に着けてほしい。
自分と見える範囲を守る自助、それが広がるのが共助。私たち行政も、伝え、広げていかなくてはならない」
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つるぎん27日に4月25日 |
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