障害者一人でもタクシーを利用できるモデルケースを作ろうと、鶴見養護学校=駒岡=の知的障害児・者が5月30日から6月10日、付添者なしでのタクシー乗車を体験した。主催するNPO法人らは、障害者のニーズがある一方、十分に応対できるタクシーが少ないミスマッチを解消していきたいとしている。
県内初の取組
乗車体験は、NPO法人かながわ福祉移動サービスネットワーク=港北区=と、神奈川県タクシー協会が主催。両者が立ち上げた「福祉ニーズに応えるタクシー利用推進プロジェクト」の一環として実施した。
後援する国土交通省関東運輸局神奈川運輸支局によると、知的障害者の付添なしでの乗車体験は、県内初の取組。同局担当者は「全国でも珍しいのでは。他地域の参考となるよう広報など支援したい」と話す。
移動手段増やす
障害のある人の移動手段は限られているのが現状だ。養護学校では、多くの利用客と乗り合わせるバスや電車での通学が困難な子どものために、自家用車で送迎している保護者は多い。
「時には保護者が送迎できない場合もある。ボランティアによる送迎サービスも人手が足りない状況。タクシーが使えれば、移動手段の選択肢を増やすことができる」と主催者は話す。 一方で、タクシー事業者の多くは、知的障害者へ応対できる体制が整っていない。東宝タクシー(株)=鶴見中央=の大野慶太社長は、「付添者なしの乗車には現場に不安感がまだある」という。外見では障害があるとはわからない障害者が、突然車内で大きな声を出すなどして、ドライバーが戸惑ってしまったり、事業者の中には乗車を断るケースも出ているという。
体験には、同校の児童・生徒のべ10人と、東宝タクシーら事業者3社が参加。下校する子どもたちを港北区の放課後等デイサービス施設まで送迎した。体験はスムーズに進み、保護者からは「余暇でもタクシーを利用できるようになれば」と期待の声も聞かれたという。今後は乗務員や保護者などへのアンケートを実施し、課題を抽出する。主催者は「乗車体験の機会を増やし、障害者のタクシー利用普及につとめていきたい」と話している。
理解深める機会に
鶴見区障害児者団体連合会の藤田美智子会長は、「重度の障害者を一人でタクシーに乗せるのは不安が残るが、軽度の人なら可能性はある。事業者が、知的障害への理解を深めるきっかけにもなれば」と話している。
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