鶴見区は、徘徊の可能性のある認知症の人の情報を事前登録し、行方不明になった際に関係機関と情報共有することで、早期発見につなげるシステムを、今年度から始めた。本人や家族の安心感につながることが期待される一方、現在事前登録者は13人にとどまっており、システムの浸透はまだこれからだ。
徘徊は、認知症の症状の一つ。外出の目的や行き先、自宅への帰り道がわからなくなったり、注意力が低下して事故などに遭いやすくなったりするケースがある。
鶴見区ではもともと、認知症の人が徘徊し、行方不明になった際に、本人の情報を関係機関へ発信・共有するシステムはあった。しかし、徘徊による行方不明者が全国で社会問題化していることなどから、区は内容を刷新した。
この4月から始めた新システム「認知症高齢者等SOSネットワーク(わになるネット)」は、徘徊の可能性のある人が行方不明になる前に、あらかじめ外見の特徴や写真などの本人の情報を把握しておく「事前登録制」を導入。万が一の際は、登録情報が公共交通機関や郵便局など最大27機関へFAX送信される。
区役所1カ所だった情報発信元も、区内地域ケアプラザを追加。より身近なケアプラがいち早く行方不明情報を受取り発信することで早期発見につなげる。
システムを担う市場地域ケアプラザは、「以前よりスムーズに連絡が行き届くのでは」と期待する。一方で、「FAXは写真が不鮮明。数ある協力機関へ確実に情報を届ける準備も必要」と実践の課題を挙げた。
浸透はこれから
新システム導入から約3カ月が過ぎたが、事前登録者は13人(6月23日現在)。区内にいる認知症の人は6千人以上いると言われており、「事前登録が広がるよう、民生委員や自治会町内会と連携し、登録をお願いしていく。地域の見守り体制を補強し、安心して暮らせる地域づくりにつなげたい」と区担当者は話す。
先行して事前登録制を取り入れている鶴見を除く17区では、登録者は1852人(2016年3月末現在)。市担当者は、「単純に区の数で割っても平均100人。登録を必要としている人はまだいる。今後も認知を広げていく必要がある」と話していた。
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