脳と身体機能向上などを目的とした「エンタメ体操」を開発、普及に取り組む 倉澤 篤史さん 東寺尾在住 48歳
「面白さ」が拓く明るい介護
○…「やるなら楽しく。笑った方がいいじゃない」。介護現場に携わり約20年。リハビリなどで行うレクリエーショントレーニングに、楽しさが足りないと感じていた。「介護が必要になった人の中には、精神的に外へ出られなくなる人もいる」。面白くて、機能も向上するもの。構想10年。医療関係者やスポーツトレーナーなども交え、技術を結集したエンタメ体操を開発した。
〇…群馬県生まれ。大学卒業後、準大手ゼネコンに勤務した。転機は25歳のとき。責任者を任された青山にある寺院の再開発プロジェクト。寺を訪れた際、墓参りに来た高齢の女性に声をかけられた。『このお寺好きなの。車イスになっても来たい』。階段があった墓地。バリアフリーという言葉の意味から学び、当時ではまだ珍しいスロープを作った。「人の心にふれた。役に立つってこういうことなんだと思った」。そう微笑む。
〇…看護補助のボランティアを経て、資格も持たずに飛び込んだ介護の世界。転勤で越した鶴見に縁を感じ、17年前、介護事業所を立ち上げた。「現場が好きでさ」。区内はもとより、必要とされるところには飛んでいく。多忙な日々の合間、安らぎは「鶴見の銭湯めぐり」と笑う。回数券を購入し、週に2回ほど。「まだまだビギナー。コミュニケーションもあって良いですよ」。風呂上りのラムネで疲れを吹き飛ばす。
〇…2年前、(一社)エンタメ体操協会を設立し、体操の普及促進に奔走する。9月からは、総合スーパーのイオン内で展開されるカルチャークラブと提携し、講座も開くことになった。「やったらみんな笑うんですよ。だから続く」。満開の笑顔で魅力を話す。「介護は人生のワンシーン。怖くない」。多くの人に知ってほしい。年間10万人といわれる介護離職も防ぎたい。「一人じゃできないけど、みんなの力を借りていく」。少子高齢化の未来を憂い、伝えたいことがたくさんある。「”面白さ”をプラスしてね」
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