鶴見区制90周年のメモリアルイヤーとなる2017年。記念行事など明るい話題も多い中、高齢化により1万人を超えた要介護認定者や、減らない待機児童への対策など、多様化するニーズや課題に対応する幅広い施策が求められている。本紙では新春にあたり、人口28万人を抱える鶴見区行政のトップ・征矢雅和区長に、今年の展望や意気込みなどを聞いた。(聞き手/本紙鶴見区版編集長・浜田貴也)
都市基盤整備を着実に
――まずは昨年の振り返りをお聞かせください。
「昨年は熊本や鳥取で震災が相次ぎ発生しました。熊本地震においては、鶴見区職員17人を含め、横浜市から約600人もの職員を派遣しました。
現地で、避難所の運営支援を担当した職員からは、『自らの身は自ら守る”自助”、隣近所に声をかけ地域で助けあう”共助”が重要であることを再確認した』と報告がありました。
防災対策は鶴見区でも喫緊の課題であるため、区の重点事業として位置付け、地域における自助・共助の取組促進や関係機関等との連携強化を図っています。
近年は、地震だけでなく風水害においても、地域防災拠点の重要性が増しています。今年も引き続き、地域の皆様と連携した災害対策に力を入れていきたいと考えております。
また、昨年も区内各所で様々な整備が進められました。今年3月に完成予定の横浜環状北線により、京浜臨海部など東京湾沿いの各拠点と内陸部の連絡が強化されます。また、岸谷生麦線により国道1号と15号のバイパス機能が強化され、区内南北のアクセス向上も期待されます。
さらに、発足から3年目を迎えた『鶴見駅中距離電車停車等推進期成会』の活動も、JR東日本や横浜市への要望書提出など積極的に進められています。関係各所との調整や財政面における課題はありますが、神奈川東部方面線『相鉄・JR直通線』の鶴見駅停車が実現すれば、東京、県央方面へのアクセスが強化され、羽田空港の国際化とあいまって、区の発展に大いに寄与するものと考えています。
災害時に重要な役割を果たし、経済成長にも資するこうした都市基盤の整備を着実に推進し、鶴見区のさらなる成長につなげてまいりたいと考えております」
介護予防など推進
――他地域同様に高齢化が進む一方、子育て世代の流入もあり、幅広いニーズへの対応が求められていますが、課題と対策は。
「私が区長に就任した4年前、約27万7千人だった区の人口は、約28万7千人に増加しております。今年も若い世代を中心に人口の増加が見込まれ、子育てや高齢者支援など様々な施策の充実が必要となります。横浜市では、団塊の世代が75歳以上となる2025(平成37)年には、要介護認定者が現在の約1・5倍に、在宅医療対象者が約1・7倍になると見込まれています。
鶴見区においては、65歳以上の高齢者数は約5万6千人で市内18区中6番目に多く、要介護認定者数も1万人の大台を超え、18区中3番目となっています。
重度な要介護者となっても高齢者が住み慣れた地域で自分らしく日常生活を営むことができるよう、医療・介護・予防・生活支援などが一体的に提供される「地域包括ケアシステム」を日常生活圏域ごとに構築していきます。
鶴見区では誰もが気軽に参加でき、元気に生活していく仲間作りにつながる集いの場『元気づくりステーション』の開催などを通して、介護予防の活動を今後も進めていきます。
また、保育所待機児童対策としては、これまで増え続けてきた入所申込者に対応するため、保育所整備を積極的に進め、私の就任後1119人の認可定員数を増やしました。
引き続き、子育て支援拠点『わっくんひろば』との合築施設や川崎市との共同整備施設を始めとする新設園の整備を進め、本年4月には259人認可定員数を拡大する予定です。
今後も、一人でも多くの方に保育サービスをご利用いただけるよう取り組んでいきます」
未来へつなぐ90周年に
――いよいよ90周年本番イヤーです。今年の意気込みをお願いします。
「昭和2年10月1日、横浜市で最初の5区の1つとして誕生した鶴見区は、今年いよいよ区制90周年を迎えます。
この節目を機に、歴史を振り返り魅力を再発見することで、元気ある鶴見区の未来につなげたいと考えており、90周年本番イヤーとして年間を通じて様々な記念事業・イベントを開催する予定です。3月開幕の『全国都市緑化よこはまフェア』と連携して、鶴見線沿線を始めとする区内の花と緑に親しむ企画や、10月には駅前で盛大に祝賀イベントを行うなど、多くの方と90周年を祝う事業を展開していきます。
鶴見区の歴史を築いてきた先人に敬意を表しつつ、元気あふれる『100歳・鶴見』を目指して、”ワクワクつるみ!”盛り上げていきましょう!」
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