鶴見養護学校=駒岡=の生徒たちの描いた絵やデザインが実際に販売されている本や商品のカバーとして採用されている。
プロに負けないデザイン
同校3年の篤也さん(仮名)が描いた絵は、3月から販売されている書籍「ヌヌ 完璧なベビーシッター」(レイラ・スリマニ著・集英社文庫)のカバーとして選ばれた。
デザインは選定まで障害者の生徒の作品であることは明かさず、純粋に絵の力で採用された。
篤也さんは重い自閉症を抱えている。絵を描くことは篤也さんの日常の一部。クレヨンを使って、笑いながら描く時もあれば、怒りながら描くこともある。普段は出し辛い感情を絵にぶつける。
家にも学校にも山のように積みあがった絵は、人の顔であったり、独特のマークのようなものが描かれる。配色も美しく、独創的な世界観を生み出している。同作品はベビーシッターが殺人事件を犯す心理サスペンス。店頭に並べた時のインパクトや内容との合致から採用された。
篤也さんの母は「思いがけないことでびっくり。本人もすぐに分かってじっと見ていた。ただあるだけだと落書きの山だけど、貴重な機会をもらった」と話す。
障害者のパワー感じて
きっかけは、障害者の才能や企業をつなげる(株)クロス・カンパニーから同校へ依頼があったこと。同社の「障害がある、ないにとらわれることなく、その価値を認められる商品を開発したい」との理念に共感し、同校が協力。学校でストックされていた篤也さんの作品を見て、同社の久世迅さんが「プロにも引けを取らない」と出版社側に紹介し採用に至った。この他、同校でワークショップを開き、生徒の描いたデザインを使って同社がプロデュースした消臭アイテムが販売されている。
「障害者の人たちはものすごいパワーを持っている。福祉の枠を超えてもっと活躍できる場を作りたい」と久世さん。同校は「障害のある子どもたちの力を自然に理解してもらえる。共生社会の構築につながれば」と期待を込めた。
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