任意で参加した利用者の電子カルテ情報や薬の処方歴といった医療・介護情報を、あらかじめ登録した鶴見区内の病院や介護施設、薬局などで共有する仕組み「サルビアねっと」が、3月から始動する。超高齢化で国も在宅医療を推進する中、医療・介護の連携で住民の健康を支える仕組みを構築する。
主体となるのは、済生会横浜市東部病院、佐々木病院、汐田総合病院と、区内三師会(医師会、歯科医師会、薬剤師会)らで構成される鶴見区地域医療介護連携ネットワークシステム構築協議会。
総務省による「ICT(情報通信技術)地域活性化大賞2016」で、優秀賞を受賞した新潟県佐渡市の「さどひまわりネット」などを手がける(株)ケアコム=東京都調布市=が技術支援に入る。
自分で説明不要に
医療・介護での情報共有により、住民一人ひとりを多職種・多機関で見守る。
共有される情報は医療機関の受診歴や検査結果、薬の処方歴やアレルギーなど。救急や転院時、医療施設から介護施設に移る際など、登録機関であれば薬や検査の重複が防げ、持病や薬の説明が不要となるといったメリットがある。
住民の参加は任意で、費用は無料。区内外どこに住んでいても加入できる。すでに受付は始まっており、現在1700人程度が登録済みという。
施設側は鶴見区内のみで、病院、診療所などの医療機関から、介護施設、薬局等の登録制。現在は50施設ほどが加入している。運用資金は、各施設の登録料でまかなう。
市も「期待」と注視
地域医療連携の充実や効率化のためのICT(情報通信技術)活用は、全国で検討されている。「サルビアねっと」は総務省や横浜市からの補助金も入るなど、初の試みとなる都市型ネットワークに内外の期待は大きい。
市は昨年、基礎自治体として初めて「ICTを活用した地域医療連携ネットワーク推進」のためのガイドラインを作成しており、「サルビアねっと」もこれに沿って運用される。将来的に全市展開を目ざし、同協議会にオブザーバーとして参加する市は、「前例のない挑戦。市も後押しする。広がるきっかけになれば」と今後のモデルにしたい考えを示す。
登録周知など課題も
「鶴見区は医師会が中心の在宅ケアネットワークがあり、土台ができているのでありがたい」と東部病院担当者。
一方で、より公共的な役割を担うには、利用者、施設とも登録数を増やす必要がある。情報についても、「見られるだけで活用する知識も共有しないと意味がない」という現場の声もある。同協議会メンバーは「まだまだ課題はある」と認識した上で、「検証するためにも登録数の増加は不可欠」と、今後も随時参加を呼びかけていく。
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