”裁判”に不安
区内に住む一人暮らしのYさん(70代・女性)は、危うく大切な資産を失うところだった。
7月、NTTを名乗る男から携帯電話に連絡があった。「Yさんですね。昨年度のウェブサイト閲覧料29万円が未納になっています。明日以降になると裁判になります」。思い当たる節はなかったが、「裁判」という言葉に怖くなった。不安にかられ、「どうやって支払ったらいいか」と問うと、追って連絡すると電話は切れた。しばらくすると、NTTの男の上司である佐藤と名乗る者から電話がかかってきた。「今日中に支払ってください。おつりは返します。これから通話したまま、コンビニへ行ってウェブマネーを購入してください」
次々と進む話に、「なぜ」「詐欺じゃないか」と頭をよぎった。「詐欺じゃないの」と問うと、電話口の声が変わり、流暢に難しい言葉を並べられ、意見を述べられなくなった。畳みかけるように話す犯人に抗議するのも疲れてしまった。なぜか自分の住所まで知られており、どこか近くで見られている―そんな気持ちにもなった。
店員の一声
「コンビニは近いか」「今から出るのか」などと確認され、近くのコンビニに入店。ウェブマネーがどれか分からず、「こんなことを相談していいのだろうか」と思いつつも、店員に尋ねた。勇気を持って経緯を話すと、「それ詐欺ですよ」と言われ、警察へ行くことに決めた。
以前、警察が巡回で自宅へ啓発に来ており、こういった詐欺の手口があることは知っていたが「その時は突然で訳がわからなくて」と振り返る。「大切なのは恥ずかしがらずに人に相談すること」。追い詰められた中での勇気ある行動が未然防止につながった。
店舗間で情報共有
詐欺を防いだコンビニで対応した女性は、事件当日、携帯を持ちながら、焦った様子の女性から「ウェブマネーのピンクのカードはあるか」と尋ねられた。金額を聞くと、30万円と答えが返ってきたため詳細を聞き、詐欺を確信したという。
同店の系列のコンビニでは、店舗であった詐欺被害や未遂の事例を店舗間で共有。最近ではウェブマネーを購入させ、IDを聞き出す手口が発生した。同店は「高齢者で高額の場合には、注意を払うようにしている。防げて良かった」と話す。
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