新型コロナウイルスの感染拡大が、約1年経った今もおさまらないまま迎えた2021年。感染対策を踏まえた新生活様式は、人々の暮らしにさまざまな影響をもたらしている。行政運営も難しさを増す中、どのように舵を取っていくのか、年頭にあたり森健二鶴見区長に話を聞いた(聞き手/本紙鶴見区編集室・浜田貴也)。
危機管理の一年
--まずは、コロナ一色となった昨年の振り返りを。
「昨年は、横浜港(区内大黒ふ頭)に入港を予定していたクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号から始まった新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、私たちの暮らしやさまざまな活動が大きく制限されました。
区民の皆さまの安全と安心を支える区役所としては、この感染症対応に追われる危機管理の一年だったと感じています。
あらためて、このような状況下で、私たちの命を守るべく、最前線で対応し続けてくださっている医療従事者の皆さまに、感謝申し上げたいと思います。
そして、区民まつりや地域の行事、各種イベントもほとんど中止となり、緊急事態宣言発令時は学校やお仕事の場でも本当に多くの制限が出ました。
それでも、区民、事業者、団体等の皆さまが、自粛への協力をはじめ、新たな状況下で活動を続ける工夫をしてくださったことにも感謝の気持ちでいっぱいです」
対面減少など一変
--コロナで浮き彫りになった行政課題は。
「コロナウイルスは、これまでのやり方や常識を一変させました。
行政、特に区役所は、窓口サービスに代表されるように、基本的に『対面サービス』が前提です。区民の皆さまの利便性を維持しつつ、「接触を減らす」という視点で見直すには、例えばマイナンバーカードの普及などが不可欠となりましたが、特別定額給付金の給付の際には、この遅れが浮き彫りになりました。
また、『地域の活性化』も同じく区役所の重要な取組です。昨年はイベントなどの中止が続きましたが、コロナ禍にあっても『地域の活性化』ができるよう、新しい手段・方法を地域の皆さまと一緒に模索していく必要があると感じています」
鶴見の底力
--一方でメリットになったことはなんでしょうか。
「前例のない危機的状況に直面して、『新たなつながり=絆』が生まれました。
緊急事態宣言のもとで自粛が続く中、例えば、飲食店、ボランティアや有志の皆さまに印刷会社、タクシー会社なども参加して、テイクアウトや商品の出前もできるプロジェクトが立ち上がりました。
ほかにも、災害用に備蓄していたマスクや防護服を医師会に寄付してくださった町内会、コロナ禍で経済的に困窮している外国人世帯へ食料品を配布してくださったNPO団体、鶴見区商店街連合会の皆さまは、感染拡大防止に尽力する医療従事者支援のための募金活動を行ってくださいました。
これまでに例のない困難な状況の中で、区民や事業者の皆さまが工夫を凝らし、地域の活動が継続するよう力を合わせて支えあって『鶴見の底力』を発揮していただきました」
発想の転換必要
--新生活様式なども踏まえたうえで、課題を解決するために必要なこと、また実際に行った取組があれば。
「繰り返しになりますが、新型コロナウイルス感染症により、私たちがこれまで当たり前だと思っていた生活や常識は一変しました。
その中にあっても、私たちはこれまで同様に、行政サービスを維持・活性化するとともに、地域の皆さまとともに地域を活性化していかなくてはなりません。
そのためには、新たな事業手法、前例にとらわれない実施方法への発想の転換が必要です。
学校のオンライン授業などもその一例ですよね。昨秋、コロナ禍の影響を受けて開催できなくなったイベントの要素を盛り込んだ『秋のプチ旅』を実施しました。
初めての試みでしたが、たくさんの方にご参加いただくことができました。我々としては、新しい生活様式のPRなどを進めながら、身近な場所でこれを使った事例を積み上げ、しっかりと定着させていきたいと考えています」
--最後に区民へのメッセージを。
「私たちのまち・鶴見には、29万3千人の方々が暮らし、多くの企業・商店・団体等の皆さまがさまざまな活動を行っています。
昨年一年で、私たちを取り巻く環境は大きく変化しましたが、鶴見区が、誰もが元気でより魅力あふれる『いつまでも住み続けたいまち』となるよう、これまで同様、皆さまとともに精一杯取り組んでいく決意です。
いつかこのコロナ禍という長いトンネルを抜けることを信じて、ご一緒に新しい一歩を踏み出しましょう」
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