鎌倉時代から伝わる鶴見神社の民俗芸能「田祭り」を守る鶴見田祭り保存会(池田昇会長=人物風土記で紹介)が、このほど、一般財団法人地域伝統芸能活用センターによる地域伝統芸能大賞の「地域振興賞」を受賞した。2017年のポーラ伝統文化地域賞以来の全国規模の受賞に、関係者は「皆さんの支援のおかげ」と喜ぶ。
田祭りは五穀豊穣を祈り、一年の稲作の所作を行う伝統行事。鶴見神社には、鎌倉時代に伝わったとされ、氏子の百姓12人が神壽歌(かみほぎうた)という歌に合わせ、春の鍬入れから秋の収穫までの所作を行い、豊作を祈願する。
鶴見神社の田祭りは、国の命令を受け、明治4年を最後に一度途絶したが、金子元重宮司や鶴見歴史の会などの尽力により、1986年に再興された。
2017年には第37回伝統文化ポーラ賞の地域賞を受賞。横浜市登録地域無形民俗文化財にも指定されている。
賑わいにも寄与
同大賞は、地域伝統芸能の活用を通じ、観光や商工業の振興に顕著な貢献をした個人、団体に贈られるもの。個性豊かな地域社会の実現を目的としている。
同センターが93年に創設し、高円宮殿下記念地域伝統芸能賞を筆頭に、4種類の地域伝統芸能大賞、奨励賞などを選出している。
今回の受賞は、明治以降途絶えていた祭りを近隣に残る同形式の田祭りや文献から再興した経緯や、子どもたちも交えた祭りとしていること、まちの賑わいづくりにも寄与していることなどが評価された。
高円宮殿下記念地域伝統芸能賞には、鹿児島県三島村の硫黄島八朔太鼓踊り保存会が選ばれた。
同保存会の池田会長は「格式高い、名誉ある賞。演者はもちろん、地域みんなで頂いたもの」と喜んだ。
伝統の灯消さず
再興以来、毎年4月29日に実施されてきた田祭り。昨年は、新型コロナウイルス感染症拡大による緊急事態宣言の発出により、再興から33回目にして初めての中止を余儀なくされた。
今年も感染が再拡大する中で中止も検討されたが、「貴重な民俗芸能の灯を絶やさず継承するため」と、無観客での実施を決断。通常、子どもも演者として参加するが、今回は規模を縮小し成人のみで行うという。
池田会長は「受賞の喜びを噛み締めながら、伝承をつなぐ一回としたい」と話した。
授賞式は10月、鹿児島県霧島市などで開かれる予定。現地で披露もあるという。
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