魅せます!鶴見のものづくり企業【7】 世界の信頼を勝ち得た技術 矢向 谷川油化興業(株)
車のブレーキ液やエンジンを冷却する際に必要な不凍液など、ケミカル用品を扱う同社。整備工場などのアフター市場を中心に製品を提供する。
ブレーキ液が劣化すると、ブレーキが効きづらくなり、不凍液の劣化はオーバーヒートの原因となる。車が安全に走行するのに欠かせない製品だ。同社では、原料生産から製品になるまでの一貫した作業体系を確立し、JIS規格の認定だけでなく、米国の規格にも合格。小川伸二社長は「人の命に係わるものを扱う企業として、しっかりしたものを作る技術力は創業以来大切にしています」と語る。
海外でも評価
同社は1949年、創業者の谷川六良氏が駐在米軍に供給するためのブレーキ液に着目し、東京で創業した。57年には鶴見区に工場を新設。59年には、廃溶剤の不純物を取り除いて再生する蒸留事業をスタート。環境保全という言葉がほとんど使われていなかった時代に先見の明があったと言える。金沢区に工場を設立し、石油化学製品開発に更に邁進していった。
海外では、「TCL」というブランドで中国やロシアにも輸出を行う。ロシアの極東ではマイナス50度の世界でも凍らない不凍液の高性能ブランドとして認知され、中国でも信頼される日本製品として知られている。さらに、2014年には自動車部品の商社SPK(株)のグループ会社となることによって東南アジアや中南米などにも輸出の幅を広げている。
SDGsにも力
今後は、製造ノウハウを活かして、幅広いケミカル品の開発を行うとともに、2030年に向け、持続可能な開発目標であるSDGsにも力を入れていきたいと意欲を示す。「21世紀を生きる企業として、環境保全の意識を高め、循環型社会への責務を果たしていきたい」。先を見据え、安全安心の社会の実現のために奔走していく。
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