つるみ背守り会で土台となるさらしの台紙を長年作り続ける 大谷 千惠子さん 豊岡町在住 86歳
心込め、やさしく見守る
○…子どもの健康を願い、魔除けとして肌着の背に付ける「背守り」。さらしの台紙に、色とりどりの糸で刺繍を縫って、区内の出産家庭へ送る「つるみ背守り会」が発足して4年ほど。毎月30枚、台紙を欠かすことなく作り続ける。「責任感がある。やると決めたら、心を入れないと。心を入れるから赤ちゃんが健康に育つのよ」。言葉の節々から、優しさが溢れ出る。
○…東京都出身。結婚し、鶴見に来て65年。子どもが大好きで「赤ちゃんを抱きたい」と8年前、自宅近くのわっくんひろばを訪れた。沐浴布の刺繍などする孫育て講座に参加したつながりで、背守り会の活動に声がかかった。丸く切ったさらしの端を縫い、一つひとつ裏返す細かい作業に、手が痛くなったこともあった。「でも誰かに届いて、喜んでもらえるもの。嬉しいじゃない」
○…健康の秘訣は「食べる」を大事にしていること。夫を亡くし、長年一人暮らしだが、毎日料理を欠かさない。食材を見ると、レシピが浮かぶ。栄養バランスの良い食事を心掛け、「おかげさまで腰痛もないし足も元気よ」と笑う。「これまでは誰かのために作ってきたけれど、今は自分のためにね」。息子夫婦が訪れたり、友人らを家に招き会話を楽しむ一方で、美術館や演奏会は決まって1人で行く。「帰りたくなったら帰れるし、ゆっくり味わえる」
○…「休むのが嫌い」と、背守り会には欠かさず参加し、家でも隙間時間があれば針と糸でチクチクと作業を進める。「これが生きがいなの」。今では人と話していても自然と手が動く。込める思いは「これから日本を背負っていく子どもたちが、元気で育ってくれるように」。これからも優しい心で、あたたかく見守る。
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