横浜市 孤立死対策、民間と連携 区は「つながり」強化
高齢化や地域関係の希薄などから、誰にも気づかれない状態で亡くなる「孤立死」が全国的な問題となっている。市はこのほど、孤立化・孤立死を未然に防ごうと、民間事業者7社と協力し「緩やかな見守り」をスタートさせた。神奈川区内でも、住民同士が「つながり」を持てる活動が行われている。
市は昨年5月、全国で相次ぐ孤立死の発生を受け「孤立予防対策検討委員会」(豊田宗裕委員長)を設置。この中で、孤立死に至ったケースを分析すると、地域の中で孤立した高齢者や生活困窮者だけでなく、保護者や介護者が亡くなったことで、その子どもや要介護者までが死亡する事例などが明らかとなった。
このような孤立化を防止するため「日常生活の中でさりげなく様子をうかがう『緩やかな見守り』を広げていこう」と、従来から実施している定期的、専門的な見守り事業に加え、地域密着のサービスを展開する事業者と連携を締結。1月中旬から「緩やかな見守り」の運用を開始した。協力事業者は、県LPガス協会(市内5支部)、京浜新聞販売組合、生活協同組合コープかながわ、日本郵便(株)南関東支社、東京ガス(株)横浜支店、東京電力(株)神奈川支店、横浜市水道局の7社。各業者が定期的に行う配達や検針、集金などの業務中、郵便物の未回収や公共料金の滞納といった生活の異変に気付いた場合は、警察や消防、区役所などの機関に連絡する。
地域の活動通じ顔見える社会へ
神奈川区は近年、ポートサイド地区などに若い世代が多く住むようになり、昨年1月時点での高齢者数は区全体(23万1122人)の19・2%(4万4440人)、市内では13番目にとどまっている。とは言え、一人暮らしの単身高齢者や高齢夫婦の数は多く、自治会・町内会の加入率(2012年4月時点)も74・2%と、市内で5番目に低いことから、孤立化・孤立死への対応が必要な状況だ。
区福祉保健センターによると、昨年、連絡があった上で自宅に行き孤立死を確認したものが1件あった。区はこのような事態を防ぐため、ふれあい訪問事業の他、75歳以上の単身高齢者宅を訪問する取り組みを2011年からスタートさせた。また、菅田地区社協や大口七島地区社協では住民からボランティアを集め、草むしりなど高齢者の困りごとを解決する団体を結成した。結成から5カ月、菅田安心ボランティアでは「頼めるところができた」と連日依頼が絶えないという。担当者は「一人暮らしの高齢者などの顔が見える」と話しており、高齢者と地域がつながる一助としても役立っている。
吉岡喜美子区福祉保健センター高齢・障害支援課長は「地域が独特に取り組む活動もありがたい。気を遣ってサービスを拒否される方も多いが、気軽にご相談ください」と呼びかけている。
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