主催している「銭湯寄席」が60回を迎えた 開発 勝二さん 六角橋在住 77歳
若手噺家を育てて10年
○…六角橋商店街にある銭湯・千代田湯の主人であり、2カ月に1回のペースで銭湯寄席を開催する席亭の顔も持つ。このほど第60回を迎え、丸10年となった寄席には、「二つ目」と呼ばれる落語家のみが出演。実践の機会が少ない若手に「勉強の場をつくってあげたい」との思いで始めたものだ。その甲斐あり、これまでに2人の噺家が「真打」に昇進した。来年には、もう1人増えることが決まっている。
○…出身は品川。目黒駅前にあった銭湯の後継ぎとして生まれた。学生時代には、新宿にある末廣亭に通いつめるなど、その頃から落語が好きだった。縁あって六角橋の千代田湯を譲り受けることになり、25歳で横浜に移り住んだ。その翌年に結婚。一男一女に恵まれた。当時はまだ薪で湯を沸かしていた時代。朝から晩まで働いて、家庭に風呂のない地域住民に憩いの場を提供した。「趣味とか遊びとか、そんな余裕はなかったよ」と懐かしむ。
○…銭湯寄席を始めたきっかけは、妻と一緒に通っていた近所の写真屋で行われていた寄席がなくなったこと。「銭湯を経営している自分なら場を提供できる」と考え、知人の落語愛好家に話を持ちかけると、6人の噺家が、各回2人ずつ来てくれることになった。初回こそ盛況だったが、その後は客が減少。続けていけるか不安になった時期もあるが、正月の初席で6人全員が出演したことで人気が回復した。今は毎回40〜50人の客が訪れる。
○…時代は流れ、現在は各家庭に風呂がついている。銭湯自体の経営も楽ではないため、息子に後を継がせる気はないという。それでも、地域住民にとって交流の場にもなっている銭湯と寄席を「自分が元気な限り、続けていきたい」とほほ笑む。その横顔はまだまだ若々しく、「やめちゃったら噺家さんにも申し訳ないからね」と、これからも地域住民に笑顔と温もりを提供し続ける。
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