神奈川大学の新理事長に就任した 正野 幸延さん 港北区在住 73歳
改革はエンドレス
○…ビジネス界で培った手腕を請われ、母校である神奈川大学の理事長に9月23日付けで就任した。「推されたときには緊張していた」というが、気負いは感じられない。2008年、創立80周年を機に策定された「将来構想」の立案者の一人。「少子化で大学は淘汰される時代。民間企業に比べると危機感が欠如している」。研究はもちろん、教育の質を上げることの重要性を掲げる。
○…山形県新庄市で生まれた。夏は川で泳ぎ、冬になるとミズナラの木で自作した板でスキーを楽しんだ。友人と田んぼを借り、3年連続で米作りの研究を行ったことは一生の思い出だ。工学部応用化学科の1期生として神奈川大へ進学。「英語の授業で英文を直訳したら、『応用化学なのに応用が利かないのね』って笑われたよ」。時代は高度経済成長期で、合成樹脂が急成長していた。ポリ塩化ビニルに興味を抱いたが、学内には研究施設がない。そこで会社四季報を手に企業へ出向き、1カ月間の実習を許された。「実験計画が何よりも大切だと痛感させられた」と振り返る。
○…理研ビニル工業に就職すると、約10年間は技術者として新製品開発に没頭した。「相手のニーズを引き出すためには、納得するまで何度でも話し合うことが重要」と力説する。その後、マネージャーとして成果を上げ、同社社長や特別顧問などを歴任。同期生が助教授だったことが縁で、05年に評議員、08年からは常務理事を務めるなど大学の運営に携わってきた。
○…早朝散歩が20年来の日課。「心を無にして歩くと、ひらめく瞬間がある」。ゴルフは生活の一部。クラブハウスで知らない人と交流することが刺激になっている。趣味は登山。北アルプスの名峰は全て登頂した。「辛いからこそ達成感がある」。大学改革はエンドレス。スピード感を持って変化に対応していくつもりだ。「将来構想を実践し、勝ち組にする」と力強く語った。
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