第6回「わが町かながわとっておき」写真コンテスト一般部門で最優秀に選ばれた 五十嵐 政次さん 松見町在住 64歳
「作品は心を映す鏡」
○…一般部門94作品の頂点に選ばれた。コンテストの応募経験がなかったこともあり、「何かの間違いかと思って夜寝られなかった」と笑う。昨夏、夕暮れ時に子安浜で撮影した一枚。浴衣姿で船に乗る少女たちを捉え、”その場所に行けばそのままの景色を見ることができる感じが良く出ている”と評価された。「昔はモノクロ世界だったから、どうしても構図にとらわれてしまう」と慢心はない。
○…実家は大口一番街で惣菜天ぷら屋を営んでいた。子安浜の情景は今も脳裏に浮かび、「夕方に行くと、漁師たちが家の前にあるかまどでシャコを茹でていたんだよ」と童心に戻ったような笑顔を見せる。カメラを手にしたのは高校生のとき。武相高校写真部では部長を務めた。働く人を題材に雪の中で鳶職人がトンカチを振り、焚き火を囲んで白飯をかきこむ姿を収めた写真は唯一、「今でもあの作品は良い」とうなずく。
○…代々木のフリーマーケット出店がきっかけで、天ぷら屋から古物屋に。約30年、生業としてきた。再びシャッターを切ったのは10年ほど前。週1回ペースで、近所や横浜周辺を中心に足を運ぶ。鳶や浴衣の少女に裏付けされるように「人の姿や仕草が写り込んだスナップが好き」と、シャッターチャンスまでひたすら待つことも多い。帰宅後、自身のブログ『怪傑古次郎』に載せるのも楽しみの一つだが、添えるコメントはいつも辛口だ。
○…二十歳の頃に盆栽にはまった。周囲の目も気にせず「塀に生えるコケを黙々と採集していた」。和竿作りも趣味の一つで、毎年フィッシングショーに作品を出展しているほど。保土ヶ谷にある和竿の工房を、亡くなった師匠の弟子仲間とともに運営する。漆をまとい、琥珀色に輝く自作の竹竿を見て「古物屋をやっていたから、自分の作品がいかに未熟かわかる」と渋い表情。「作品で心を表現できるようにしている」とあくなき追求は続く。
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